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"成人式に消えた母と十三着目の振袖" 第6話

叔母が始めた反撃

公正証を示された千鶴は、姉のを隠していたことを認めた。ただし自分が脅したのではなく、奈津子から取引を持ちかけられたのだと主張した。の持分を譲る代わりに、960万円の横領と架空契約への加担を告発しないでほしいと頼まれ、紗季へづかない条項も奈津子自が希望したという。

「お姉ちゃんは、あなたに会う勇気がなかったのよ。私は捨てられたあなたを守った」

千鶴はそう言い、公正証の作成に録ったという音声を再した。奈津子の声で、《紗季には会いません。私がしたことをられたくありません》と話している。は切れていたが、声そのものは母に聞こえた。紗季が信じてきた被害者像を崩すには分な断片だった。

翌から、域と交流サイトに紗季を非難する記事が始めた。《閉寸の叔母を追い込む姪》《失踪した母の犯罪を隠す職員》。護学の学費を千鶴が負担したことや、紗季が乃の苦記録を閲覧したことまでかれ、職務の報を私怨に使ったと印象づけられていた。

記事には、紗季が代に母を探して欠席をねたことや、護学で度実習を休んだことまで載っていた。っているのは族と学だけの報であり、千鶴が記者へ渡した能性がい。

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紗季は記事の削除だけを求めず、どの資料が誰から提供されたか示を請求し、名誉毀損と個報漏えいを分けて対応した。

俊夫は乃の従業員へ、紗季に協力すれば退職を払わないという誓約も配っていた。元経理の桑原は署名を拒み、与細と緒にその類を保していた。反論するを恩らずや裏切り者と呼び、活費を使って黙らせる方法は、葵の代から変わっていなかった。

記事へ報を渡したのは俊夫だった。彼は名誉毀損を理由に、紗季とを相取って損害賠償を請求すると通し、契約は奈津子が作った偽物だと記者へ語った。閉処理に協力した紗季が倉庫へ証拠を持ち込んだ能性まで主張し、13番の振袖を《姪が作った具》と呼んだ。

さらに乃の元従業員3が、奈津子はの印を自由に使い、客の署名を代していたと証言した。3はいずれも閉、俊夫が経営する別の貸装会社へ再雇用されている。紗季は反論したかったが、相がくたびに記者へ説すれば、調査より言い争いがへると弁護士に止められた。

紗季はへ休職を申した。処分を受けたからではなく、相談員のと当事者の調査を確に分けるためだった。司は担当記録の閲覧履歴を公し、紗季が個名を見ていないことを確認した。

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も俊夫の求に応じず、部監査が終わるまで記録を保全すると発表した。

その夜、紗季の自宅マンションで災報器が鳴った。はていなかったが、廊の消器が撒かれ、玄関には《棒の娘》と油性ペンでかれていた。警察が防犯映像を確認すると、乃の元従業員の制を着た物が映っていたものの、子とマスクで顔は分からなかった。

千鶴は配する話をかけてきた。「調べるのをやめれば、こんなことも終わる。あなたの仕事まで失う必はない」。紗季は録音を始したうえで、なぜ嫌がらせが自分の調査と同に終わると分かるのか尋ねた。千鶴は返事をせず、姉と同じようにを張るなと言って話を切った。

紗季は母のように1で証拠を抱えないと決めた。嫌がらせの映像、千鶴の通話、俊夫からの通を系列にし、弁護士と警察だけでなく、信販会社の正対策部、保険会社、成式契約の被害者支援団体へ同送付した。誰が何に受け取ったかを覧化し、部だけが消されても比較できるようにした。

信販会社は13件の契約について請求を止し、信用報の訂正続きを始めた。保険会社も10の1200万円について再調査を決め、ライフサポートの座保全を裁判所へ申してた。俊夫の反撃は、隠れていたの流れを複数の組織へらせる結果となった。

だが、公正証の音声は残ったままだった。母が自分から会わないと言ったのなら、千鶴の裏切りだけでは10のを説できない。紗季は音声の録音器と作成を調べ、公証役に保された原本との照を求めた。

原本には、千鶴が公した部分のあとに、さらに12分の会話が残っていた。奈津子は確かに《紗季には会いません》と言っている。しかし、その直に俊夫が別から入り、こう告げていた。

「会えば、紗季が共犯として署名した契約を信販会社へす。護師の資格も就職も終わるぞ」

母の言葉は自由な約束ではなかった。娘の名義で作られた偽契約を質に取られ、されたものだった。

それでも音声の最で、奈津子は誰にも制されず、別の事実を告していた。

「960万円は盗んでいない。でも私は、から240万円を持ちしました」

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