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"二十六年目の告白" 第6話

踏みにじられた絆と、青の背

病の引き戸が、ギィと々しい音をてていた。 弁護士のろから歩みた青——達也の姿を見た瞬、美の纏っていた勝ち誇った笑みが、引き攣るように凍りついた。

「な、なんであんたがここにいるのよ!?」 美は甲い切り声を張りげ、毛皮の襟元を掻きむしるようにして達也を指差した。 「警察に厄介になった来損ないが、どの面げて浩司さんの病に来たわけ!? あんたなんかが入り込んでいい所じゃないのよ、さっさとてきなさい!」

激昂する美に対し、達也は歩も引かなかった。 着ているスーツは決して級品ではない。しかし、折り目正しくアイロンが当てられ、その背筋はかつてスーパーの片隅で怯えていたの面をじさせないほど、真っ直ぐに伸びていた。

達也は美の罵声を完全に素通りし、私のにつと、く腰を折って礼した。

「……ゆみさん。初めまして、佐々達也です」 静かで、芯の通った声だった。 「先から、これまでのすべての真実をお聞きしました。僕が今までき延びられたのは、の学費も、アパートの敷も、で支えてくださったあなたのおかげです。……本当に、ありがとうございました」

青の目にいものが滲んでいた。私はちがり、達也の細い肩にそっとを置いた。

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「派に育ちましたね、達也さん。あなたが自分ので歩もうと歯をいしばってきたからです。謝などいりませんよ」

「ちょっと! 何よそれ、どういう茶番!?」 美がヒステリックに机を叩いた。 「ゆみ! あんた、私の留守に私の『息子』を懐けてたっていうの!? 自分が産み落とした邪魔なガキがれだからって、裏で銭を恵んでたわけ!? 笑わせないでよ!」

美は勝ち誇ったように唇を歪め、達也を嘲笑の差しで見ろした。 「にねぇ、達也。あんたの本当の母親は、目のにいるそのな負け犬女よ。あんたはね、私が浩司さんと結ばれるために、捨て駒として引き取ってやっただけのなの。毎殴られて、い着せられて、惨めにきてきたのは全部、あんたがその女の血を引いてるからよ!」

美が叫び終えた瞬、病の空気が変した。 あまりの醜悪さに、同席していた美の若い弁護士すら顔を青ざめさせ、数歩ずさりしたほどだった。

「黙れよ」 く、りに震える声が響いた。 誠だった。彼は達也の隣へ歩み寄ると、を乗りして美を徹に睨みつけた。

「あんたは、自分がだとってるのか? 子どもを復讐の具にして、もの、虐待し続けてきたことを誇らしげに語る……そんな怪物が、俺の親であるはずがない」 「ま、誠君……? 何を言ってるの、私はあなたの本当の——」

「触るなと言ったはずだ!」 誠のが、病の壁をビリビリと震わせた。 「俺の母親は、俺がをせば晩を握りしめ、まみれになって俺の学費を稼いでくれた、ここにいるゆみさんだけだ。血が繋がっていようがいまいが、あんたのような腐ったに『母親』を名乗る資格なんかない!」

「誠君……違うのよ、私はあなたのために……!」 狼狽する美の横で、ベッドのの浩司が激しく咳き込み、泡を吹いて胸をかきむしっていた。 「やめ……ろ……あけ……み……もう……やめろぉ……!」

「いいえ、やめません」 私はハンドバッグから、のみが詰まった茶封筒を静かに取りした。 「美さん。あなたが振りかざしているその遺言と、あなたの信じる『完全犯罪』の幕引きをいたしましょう」

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