みかん小説
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"二十六年目の告白" 第9話

しい朝と、あふれる空

浩司の葬儀は、親族すら呼ばず、私と誠のだけで密やかに執りわれた。 あれほど世体と虚栄を気にしてきていた男の骨壺は、驚くほど軽く、たかった。義妹のマイや夫の親族たちは、億千万円の負債が自分たちに回ってくることを恐れ、誰として姿を見せなかった。

すべてが終わった数週。 弁護士のオフィスで、最終な法続きが完した。

美は予通り、莫な借から逃れるために庭裁判所へ相続放棄を申してた。しかし、すでに個名義で借り入れていたサロンの保証債務とタワーマンションのローンは免れず、競売によって処を追われ、現は郊の古い造アパートで、昼夜を問わず清掃のパートに追われる々を送っているという。達也からの連絡は完全に拒絶され、彼女の元には、虚飾の果てに残された孤独と、終わりのない返済の督促状だけが残された。

「母さん、これ、見てくれよ」 誠がリビングのテーブルに、枚のパンフレットを広げた。 陽がたっぷりと差し込む、向きのLDKのマンションの取り図だった。

「親父の残した古い、売却の続きがんだよ。抵当権を抹消して、諸経費を引いても、しは元に残るって。……あのには、母さんの辛いいがすぎるだろ。

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ばあちゃんの介護も、親父のモラハラも。全部放して、でしい所へ引っ越そう」

誠は照れくさそうに笑いながら、私の荒れたを包み込んでくれた。 「俺の会社のくだからさ。これからは母さん、好きなを育てたり、旅にったりしてくれよ。今まで俺のために犠牲にしてくれたの分、今度は俺が母さんを幸せにする番だから」

私の目から、ぽろぽろと粒の涙がこぼれ落ちた。 しみの涙ではない。、凍てついていた私の魂が、息子の温もりによって完全に解き放たれた歓の涙だった。

私は違っていなかった。 憎悪にを任せて暴れるのではなく、ただ目のの子どもの命をし、守り抜くことを選んだ私のは、この優しく逞しい青の笑顔という、最の奇跡を結実させてくれたのだ。

半。 真しいマンションのベランダには、の柔らかな陽射しを浴びて、とりどりのシクラメンとビオラが咲き誇っていた。

キッチンでお湯が沸き、ばしいコーヒーのりが部いっぱいに広がる。 「母さん、おはよう! 今もいい気だな」 ネクタイを締めた誠が、元気な音をててリビングへ入ってくる。

「おはよう、誠。朝ごはん、できてるわよ」

卓を囲み、のない会話に笑いう朝。 そこには、誰の悪も、偽りの優越も、凍りつくような気もしない。

ただ、誠実にを注ぎ続けた者だけが辿り着くことのできる、揺るぎない平穏と幸福のが満ちていた。

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