"結婚翌朝、五分遅れの朝食が暴いた秘密" 第5話
暴かれた猛毒の正体
「劇薬……? 佐々、何を馬鹿なことを言っているんだ」 佳代が引き攣った笑みを貼り付けたまま、退りした。 「ただの古い調料よ! ちょっとが濃いだけの! 昔からある秘伝のタレを、嫁の腕試しに使っただけじゃないの!」
「腕試しでの命を弄ぶなッ!!」 佐々の声が、老舗の梁を震わせた。
「あの瓶のは、特定の魚の肝と、特殊な野を濃度で発酵させた超濃縮エキスです! カリウムとナトリウムの含量が致量レベルで凝縮されており、何より――極めて力なチラミン誘導体が含まれている! 健康ななら激しい痢や悸で済むかもしれんが、会のように全の治療薬を常用されている方がでもにすれば……!」
佐々は言葉を切り、青ざめた正郎を凝した。
「血圧の急激な異常、そして致性脈による止を引き起こします。……救急を呼んでも、分と持たなかったはずだ!」
ドサリ、とい音がした。 正郎のから、握りしめられていた薬袋が力なく畳のへ落ちた。 義父の顔は気に変し、唇がガタガタと激しく震えている。
「ば……馬鹿な……」 孝志がふらふらと退りし、壁に背を打ちつけた。 「そんなはずはない……母さんが……親父を殺そうとするはずが……」
「殺そうとしたわけじゃないわよ!」 佳代が狂乱状態で叫びてた。
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「ちょっとお腹を壊すくらいなら、この気な嫁が慌てて恥をかくだろうとっただけよ! ぬなんてるわけないじゃない!!」
佳代のから、決定な「自」がびした瞬だった。 嫁を貶めるためなら、夫の体調を悪化させても構わないとっていた――その浅ましくもおぞましい本性が、親族全員ののに晒されたのだ。
「……おという女は……」 正郎の掠れた、獄の底から響くような声。
だが、この、誰もが「佳代の悪ある悪戯が暴かれた」だけで終わるとっていた。 私だけは、違っていた。
私はえ切ったで、エプロンのポケットからスマートフォンを取りした。 画面には、先ほど私が台所で撮した「ある写真」が表示されていた。 あの剥がれかけのラベルの瓶。その底面、埃を拭い取ったガラスの裏側に、赤黒い油性マジックでさく殴りきされていた、戦慄の文字。
私はスマートフォンの画面を、呆然とち尽くす孝志の目のに突きつけた。
「孝志さん。あなたのお母様は、本当に『らなかった』のでしょうか?」
「え……?」
画面を覗き込んだ孝志の瞳が、限界まで見かれた。 顔から完全に血の気が引き、彼の唇がカタカタと音をてて痙攣し始める。
そこに写っていたのは、の付。 そして――佳代の几帳面な跡で、はっきりと刻まれていた文字だった。
【正郎・用厳禁/致性脈誘発確認済/保管:佳代】
「ひっ……!?」 孝志の喉から、とはえない引き裂かれた鳴が漏れた。
これは、単なる嫁いびりの悪戯などではない。 から周到に隠蔽され、会を待ち望まれていた――実の妻による、完全犯罪の殺未遂の証拠だったのだ。
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