"母に贈った家を狙う親戚夫婦" 第7話
画面をにする。
録音始。
「条件は?」
浩司がの端をげた。
「百万円」
「何のお?」
「ち退き料」
私は聞き返した。
「百万円払えばていく?」
「ああ」
「どうして私が払うの?」
「俺たちはもう活基盤をここへ移したからな。しい部を借りるにもがいる。引っ越しだって必だ」
里美まで言った。
「百万円くらいで済むならいものでしょ」
私はを見た。
最初はを取る。
それが無理なら、退の条件としてを取る。
ようやく本当の狙いが見えた。
その。
玄関チャイムが鳴った。
「またピザかな?」
浩司が嫌よくちがる。
玄関をける。
郵便局員がっていた。
「浩司様ですね。内容証郵便です」
浩司の笑顔が消えた。
封筒を受け取る。
法律事務所の名を見て顔をしかめる。
「何だよこれ」
「正式な退求です」
封筒を破り、を読む。
読みめるほど表が変わった。
所者。
権限なし。
退求。
応じないの法措置。
浩司は類を握り潰した。
「こんなでビビるとってんのか」
「捨ててもはないわ」
私は言った。
「届いた記録も、同じ内容の控えも残っています」
浩司が舌打ちする。
「裁判でも何でも起こせばいい。判決がるまで何かもかかるだろ。そのはませてもらう」
「そう」
私はスマートフォンをに取った。
画面を見せる。
録音アプリの波形。
「じゃあ、これは?」
広告
浩司の目が止まった。
「さっきの百万円の話。全部録音しました」
里美がちがった。
「ちょっと、勝に録音したの?」
「自分から言ったことでしょう」
浩司の顔が変わっていく。
「ていく条件として銭を求した。それに、今朝は私が確に荷物の搬入を拒否したも居座っている」
私は歩づいた。
「昨は、私の留守に母の収納を漁った映像も残っています」
浩司が完全に黙った。
「今ていくなら、警察への相談をどこまでめるかは弁護士と改めて考えます」
「脅すのか」
「事実を説してるだけ」
里美が浩司の袖を引いた。
「もうやめようよ」
「黙れ」
「警察なんか来たら本当に困るでしょ」
浩司はしばらく唇を噛んでいた。
やがて、スマートフォンを取りした。
「おばさんに話する」
私は止めなかった。
「文おばさんなら俺の方だ」
彼は吐き捨てた。
「おがどんなに偉そうにしても、おばさんが“んでいい”って言えば終わりなんだよ」
数回のコール。
母がた。
浩司はスピーカーへ切り替えた。
「おばさん、俺だよ」
『浩司?』
「裕子ちゃんがひどいんだよ。俺たちはおばさんから管理を頼まれてるって言ってるのに、弁護士までして追いそうとしてる」
話の向こうで母が黙った。
私は何も言わない。
やがて母が尋ねた。
『浩司たち、本当にに荷物を運び込んでんでいるの?』
広告
「んでるっていうか、おばさんが入院してが空いてるから守ってやってるだけだよ」
『私は着替えを取ってきてほしいと頼んだだけです』
浩司が固まった。
『は空気を入れ替えてほしいと頼んだ。それだけ。んでいいなんて度も言っていません』
「でも、に管理を――」
『あれも、あなたが“見回るに必だから”って言ったからいたのよ』
母の声が震えた。
しかしくはなかった。
『私の言葉を勝に別のに使わないで』
浩司の顔が変わった。
「おばさん、裕子ちゃんに何か吹き込まれたんだろ」
『違います』
「薬のせいで記憶が――」
『私の記憶はしっかりしています』
母がきっぱり遮った。
そして続けた。
『今すぐ荷物をまとめてていきなさい』
里美が息をむ。
浩司の最の逃げが消えた瞬だった。
「おばさん、待ってくれよ」
浩司の声には焦りが滲んでいた。
「俺たち、くところがないんだよ」
里美まで話へづく。
「そうなのよ、母さん。今のアパートももうないといけなくて。賃だって払えないし、このままじゃ本当にむところがなくなるの」
浩司が振り返った。
「余計なこと言うな!」
遅かった。
母は全部聞いていた。
しばらく沈黙が続いた。
『困っていたなら』
母の声が聞こえる。
『どうして最初からそう言わなかったの』
里美が黙る。
『助けてほしいと正直に言えばよかったでしょう』
「だって……」
『でもあなたたちは、私を配しているふりをした』
母はゆっくり話した。
『私がで怖いだろうと言って、にさせた。
広告
おすすめ作品
-
完結第12話
空港に置き去りにされた妻は、もう帰らない
欧州出張から帰国したゆりを、夫と義母は成田空港へ置き去りにした。「四時間歩いて来い」と笑いながら、彼女を貧しいラーメン屋の娘だと見下して。 彼女は、夫の不倫や会社資金四千八百万円の横領を示す証拠を、すでに揃えていた。 空港から一本の電話をかけた三時間後、取引停止が相次ぎ、夫の会社は大混乱に陥る。嫁姑|夫婦|修羅場1.8万字5 7 -
完結第20話
結婚翌朝、五分遅れの朝食が暴いた秘密
結婚翌朝、朝食が五分遅れただけで、夫から親族全員の前で平手打ちされた管理栄養士の美咲。彼女は謝る代わりに、義父の御膳を床へひっくり返し、「食べさせられません」と告げる。 美咲が遅れたのは、心臓病を患う義父のために味噌汁を作り直していたからだった。義母から渡された“秘伝のタレ”には、義父の薬と組み合わさると命に関わる危険な成分が含まれていた。 しかも瓶の底には、義母自身の筆跡で《服用厳禁/致死性不整脈誘発確認済》と残されていた。単なる嫁いびりではなく、八年前から続く恐ろしい企みが明らかになり、夫と親族の立場は一気に逆転する。怒り|嫁姑|夫婦|裡の顔|修羅場1.9万字5 31 -
完結第25話
義母が倒れた夜、隣人が私を止めた理由
午前一時、夫から「母が脳卒中で倒れた」と連絡を受け、病院へ急ごうとした美緒。だが車に乗る直前、隣人の氷室に止められる。前輪の下にはブレーキ液が漏れた跡があり、義母本人へ電話すると「倒れていない」と告げられた。 防犯映像に映っていたのは、出張中のはずの夫・達也。裡切られた|夫婦|真相|介護3.0万字5 29 -
完結第23話
母の小さな食卓
三年ぶりに実家へ帰った直人は、母の誕生日の食卓に、ご飯と味噌汁、漬物しかないことに驚く。冷蔵庫もほぼ空なのに、玄関には弟へ渡す高価なりんごが三箱も積まれていた。 さらに母の通帳には、弟へ毎月八万円を送った記録が残されていた。弟ばかりを優先する母への古い不満がよみがえるが、その金は、直人が失業した三年前から、息子・悠人の学費として渡されていたものだった。裡の顔|親子関係|修羅場2.8万字5 459 -
完結第12話
二十六年目の告白
余命わずかな夫・浩司は、妻ゆみに衝撃の告白をする。二十六年前、ゆみが産んだ息子と愛人の子を、病院で密かにすり替えたというのだ。 だが、ゆみはすべてを知っていた。夫の行動を目撃し、名札を元へ戻していたため、浩司が愛人の子だと信じて溺愛してきた誠は、紛れもなくゆみの実子だった。夫婦|真相|親子関係|修羅場|不倫1.7万字5 20 -
完結第16話
赤いガーベラと私の家
母の形見の絵を嫁に勝手に売られ、家事を当然のように押しつけられてきた50歳の愛子。限界を迎えた彼女は、母の保険金で購入した小さな家へ一人で移り住む。 ところが長男夫婦は、新居まで「実家」と決めつけ、家事をしてもらうつもりで強引に引っ越そうとする。愛子は荷物の受け取りを拒み、専門家の助言を得て、同居を認めない意思を書面ではっきり示す。 やがて母の絵は親切な購入者の手によって戻り、愛子は長男夫婦に「この家にあなたたちの部屋はない」と告げる。彼女が去った古い家では、夫も息子夫婦も、これまで愛子が背負っていた家事の重さを初めて知ることになる。兄弟姉妹|嫁姑|夫婦|相続|金銭問題1.6万字5 40 -
完結第20話
祖父の土地を勝手に道路にされたので、自販機を置いた
建設コンサルタントとして働く雪は、祖父の私有地が無断で舗装され、完成間近のタワーマンションの進入路として使われていることを知る。 開発を主導していたのは、学生時代から雪に異常な執着を見せていた川端武郎。彼は土地を「事実上の道路」として申請し、所有者の承諾がないまま建築確認を通していた。怒り|祖父母と孫|裡の顔|修羅場2.1万字5 249