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"母に贈った家を狙う親戚夫婦" 第10話

「裕子……」

「このは、余ったおで簡単に買ったじゃない」

声がし震えた。

「私のそのものなの」

母が泣いた。

「ごめんなさい」

「謝ってほしくて話したんじゃない」

「私、何にもらないで、部くらい貸してもいいなんて」

「だから話したの」

私は母のをく握った。

「もう度と、自分のを“私がすればいい”って誰かに渡そうとしないで」

母は何度も頷いた。

「優しくすることと、何でも許すことは違うよ」

い沈黙の。

母は自分で涙を拭った。

「分かった」

その目は、昨までとは違っていた。

「私、もう違えない」

母はスマートフォンを取りした。

「誰に話するの?」

「親戚の本のお兄さん」

「え?」

私は驚いた。

親族の揉め事を隠したがっていた母が、自分から話そうとしている。

「浩司はきっと、自分が被害者みたいに言って別の親戚のところへく」

母は画面を見た。

「そのに私が全部話す」

「お母さん」

「裕子のを踏みにじろうとしたを、もう“内だから”ってかばわない」

母が発信ボタンを押す。

私は隣で、その横顔を見ていた。

を守ったのは私だけではなかった。

母も今、自分の居所を自分で守ろうとしていた。

「もしもし、お兄さん」

母はつずつ話した。

浩司が入院から予備キーでへ入っていたこと。

管理を頼んだというを利用したこと。

妻と荷物を運び込んだこと。

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所へ「裕子は転勤する」と嘘をついたこと。

所権を自分へ移す方法まで探していたこと。

退を求められるとを求し、最には警察まで来たこと。

話の向こうで、母の兄はく黙っていた。

やがてい声が聞こえた。

『あいつ、そこまでやったのか』

「私も悪かったの」

母が言う。

「鍵を預けていたし、く言えなかったから」

『文が悪いんじゃない』

叔父はきっぱり言った。

『の良さにつけ込んだ方が悪い』

母は目を伏せた。

『こっちは任せなさい。親戚には私から話す』

数。

予通り、浩司夫婦は別の親戚のを訪ねていた。

《裕子に突然追いされた》

《文おばさんの世話をしていただけなのに警察を呼ばれた》

《今むところがない》

以なら、誰かが同していたかもしれない。

しかし今回は違った。

本の叔父から、すでに事実が共されていた。

玄関先で断られたという。

さらに借の相談を持ち込んだ親戚からも拒絶された。

浩司が最も切にしてきた「世」が、今度は自分へ向いた。

ただし私は、そのを追う気はなかった。

借がどうなったか。

どこへ引っ越したか。

夫婦関係が続いたか。

興はなかった。

私と母の活から消えてくれれば、それでいい。

弁護士からも連絡があった。

「退は確認できました。今また侵入や求があれば、すぐ記録を残して連絡してください」

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「分かりました」

私は玄関の鍵を交換した。

これまでの予備キーはすべて使えなくした。

しい鍵は本。

私。

母。

そして緊急対応用として管理会社へ保管する本だけ。

業者が帰った、私は母のにしい鍵を載せた。

「今度から、これは誰にも渡さないで」

母が笑った。

「ええ」

鍵を握りしめる。

「何かあったら最初に裕子。次に管理会社」

「そうして」

「親戚でも駄目?」

冗談っぽく聞く。

私は笑った。

「親戚でも駄目」

「分かった」

母も笑った。

それは、この騒が始まってから初めて聞く、本当に穏やかな笑い声だった。

母がへ戻ったのは、それから数だった。

私はを取り、施設まで迎えにった。

玄関をける。

母はゆっくりのを見回した。

「やっぱり落ち着くね」

「そりゃそうよ」

廊に荷物はない。

ゴルフバッグもない。

らないスーツケースもない。

里美の雑誌もない。

庭へ放置された蔵庫も、すでに業者へ回収を依頼した。

「裕子」

母が私を呼んだ。

「何?」

「この部、つ余ってるでしょう」

瞬、嫌な予がした。

母が笑う。

「もう誰にもあげなくていいんだよね」

私はわず吹きした。

「当たりでしょう」

「はね、使ってない部なら困ってるに貸してもいいんじゃないかってってたの」

母は空き部のドアをける。

「でも、使ってなくても私たちの切な所には変わらないんだね」

「そういうこと」

「じゃあ部、私の趣の部にしてもいい?」

「好きに使って」

数週。

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