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"母に贈った家を狙う親戚夫婦" 第11話

母はその部にさな机を置き、昔から興があった芸を始めた。

空いているから誰かへ渡さなければならない。

そんな決まりはない。

何も置かない部があってもいい。

本がして暮らせるなら、それでいい。

母は以よりするようにもなった。

町内会の佐藤さんがを訪ねてきたには、

「あの、浩司さんの話を信じてしまってごめんなさい」

と謝られた。

母は笑って答えた。

「私もはっきり言わなかったから」

それからでお茶をんでいた。

母に必だったのは、関係を全部切ることではなかった。

信頼できると、利用しようとするを分けることだった。

私もしずつ理解した。

母を守るというのは、母の代わりに全て決めることではない。

自分で断れるようになるまで支えること。

必なに横へつこと。

その方がずっと事だった。

数かが経った。

あるの夕方。

私は仕事から戻ると、玄関で母が話している声を聞いた。

「ごめんなさいね。それはできないの」

瞬、ち止まる。

母が話を切った。

「誰?」

「親戚」

「また何か?」

「今度の法事で受付をやってほしいって」

「断ったの?」

「うん」

母はし照れた。

「がまだ完全じゃないから、つのは無理だもの」

私は笑った。

以の母なら引き受けていた。

帰宅に痛みで眠れなくなっても、誰にも言わなかっただろう。

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「嫌われるとわなかった?」

尋ねると母はし考えた。

「ちょっとはね」

「ちょっと?」

「でも、断ったら別のを探しますって言われただけだった」

母自がおかしそうに笑う。

「私、今まで何をあんなに怖がってたのかしら」

全員から好かれなければならない。

頼まれたら引き受けなければならない。

内なら助けなければならない。

母を縛っていた考えは、しずつ消えていた。

優しさを失ったわけではない。

むしろより穏やかになった。

本当に助けたいには助ける。

無理なは断る。

それだけだ。

そしてのにも変化があった。

母は玄関の鍵を確認する習慣をにつけた。

見らぬ訪問者が来れば、インターホン越しに用件を聞く。

な類は私と相談してから署名する。

切な通帳や印鑑も、保管所を見直した。

「なんだか私、急に用いおばあさんになったみたい」

母が言う。

「そのくらいでちょうどいい」

私が返す。

で笑った。

は以より静かだった。

しかし、その静けさはもう「何か起きるのが怖い静けさ」ではない。

守られている所の静けさだった。

。

私は再び週の張へくことになった。

発。

しだけがあった。

回の記憶が残っている。

母をにする。

を空ける。

同じ条件だった。

「裕子」

玄関で母が呼び止めた。

「何?」

ポケットからしい鍵を取りす。

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「丈夫」

笑っている。

「何かあったらまず裕子。それから管理会社」

「うん」

「らないは入れない」

「親戚も?」

「勝には入れない」

母が胸を張った。

私は笑った。

「格」

張、毎話をすることはやめた。

最初の頃は習慣のように確認していたが、母自が、

「仕事でしょ。毎かけなくていいよ」

と言うようになった。

数に度。

く話す。

「変わったことない?」

「ない」

「体調は?」

「元気」

「鍵は?」

「閉めてます」

以なら最まで配だった。

今回は違った。

母は、自分の活を自分で守れる。

そうえた。

仕事も順調だった。

予定よりく現をれられることになった。

駅で幹線の切符を変更する。

また、母には連絡しなかった。

驚かせよう。

最寄り駅へ着く。

母の好きな栗きんとんを買った。

宅へ入る。

夕暮れ。

見慣れた角を曲がる。

平の窓からかいかりが漏れていた。

胸がし鳴った。

玄関。

私はしい鍵を取りした。

差し込む。

回す。

ドアをける。

その瞬。

噌汁と焼き魚の匂いがした。

私はきを止めた。

数かと、同じ匂い。

あの。

らない男女の笑い声。

廊の段ボール。

男物の靴。

ゴルフバッグ。

瞬だけ記憶が蘇った。

私は靴箱を見る。

らない靴はない。

段ボールもない。

静かな。

そして奥から聞こえた。

「裕子?」

私は息を吐いた。

母の声だった。

「もう帰ってきたの?」

母がエプロン姿でリビングからてきた。

「じゃなかった?」

「く終わった」

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