"空港に置き去りにされた妻は、もう帰らない" 第2話
誠実な義父の頼みを受け、私は結婚をに勤めていた商社を退職。専業主婦として庭を支えつつ、義実の事業を裏方として伝うを選んだ。
だが、私の結婚活を狂わせたのは、ひとえに義母・美佐子の歪んだ選民だった。
「嫁が婚に尽くすのは当然の義務でしょう。特に、あなたのような自の怪しい貧乏育ちはね」
義母は会うたびに、私を『貧乏の娘』と呼び、骨に見した。 会社での類理や雑用を私に押し付けるだけでなく、同居もしていない義実の呂掃除やむしり、親戚への贈答品の配まで、すべて私の無償労働として搾取した。
なぜ義母が私をここまで貧乏とい込んでいたのか。 それには、結婚の「両の顔わせ」に端を発する、滑稽なき違いがあった。
の。 両の顔わせの取りが決まった直、私の母は界しており、弟の智(ともき)と父の宗(そういち)が同席する予定だった。 しかし、直になって父の会社で緊急の役員会議が入り、どうしても指定のホテルへけなくなってしまったのだ。 父から『本当にすまない! 急遽トラブルでけないんだが、私がプロデュースしている神田の舗なら顔をせる。所を変更してもらえないか』と連絡が入った。
父が指定した所――それは、父が趣と実益を兼ねてちげ、当話題を呼んでいた『極真鯛汁ラーメン・神田本』の奥にあるVIP個だった。
広告
急な変更を詫びつつ案内した私に対し、構えを見た義母は骨に顔を歪めた。
『はあ? 両の顔わせを、こんな脂臭いラーメンでやる気!?』 『お義母さん、申し訳ありません。ここは父が掛けているで……』 『ああ、はいはい! そういうことね! するに個経営のラーメンのオヤジってことね!』
義母は私の説を遮り、で勝に納得してしまった。 そのに駆けつけた父は、厨の察直だったため作業着のカジュアルな装だったことも災いし、義母の脳内には「ゆりの実=零細ラーメン=貧乏」という方程式が完全に刻み込まれてしまったのだ。
だが、真実はまったく異なっていた。 私の父・松岡宗は、全国に数百舗を展するフランチャイズ本部『エムズ・フードホールディングス』の創業者兼代表取締役会。 ラーメンは、父がプライベートでちげた数あるブランドの、ほんの枝葉のつに過ぎなかった。 実の総資産は数億円に達し、港区のに広な本邸を構えている。
「誤解を解かなければ」と何度も健に相談した。 しかし、健は先で笑いばすだけだった。 『いいじゃん、見栄張らなくてさ。実際、ラーメンなんて収百万か百万だろ? うちの親父の商社は商億だぞ。おは俺と結婚できて、貧乏からいがれたんだから謝しろよ』
夫すらも、私の実の真の姿を調べようともせず、母親の言い分を鵜呑みにして私を「格」
広告
と決めつけていた。 そして、その歪んだ優越は、義父が体調を崩して入院した半から、急速に悪質さを増していったのだ。
半の初。会社の黒柱であった義父・正隆が、過労による狭症で倒れ、期療養を余儀なくされた。 会社の経営は、専務であった息子の健が「社代」として引き継ぐことになった。
その翌から、私に対する扱いはさらに苛烈を極めた。
「ゆり、からおも会社に来てフルタイムで働け」 健はリビングでビール缶を煽りながら、当然のように命令した。 「親父が倒れてがりないんだ。事務員をしく雇うがもったいないから、おが無で伝うのが当たりだろ」
翌朝から、私は『マツオカ・トレーディング』の本社ビルへ通わされた。 しかし、私に与えられた業務は、ただの事務作業ではなかった。 請求の再チェック、過数分の顧客データの入力、倉庫での検品作業――らかに、社員数分の膨な業務量が、私のデスクのに積みにされていた。
審にった私が、古参の女性事務員に尋ねたことで、驚くべき事実が発覚した。
「ゆりさん、本当に申し訳ないわ……。その仕事、本来は武藤子(むとう・ようこ)さんの担当だったのよ」
広告
おすすめ作品
-
完結第20話
結婚翌朝、五分遅れの朝食が暴いた秘密
結婚翌朝、朝食が五分遅れただけで、夫から親族全員の前で平手打ちされた管理栄養士の美咲。彼女は謝る代わりに、義父の御膳を床へひっくり返し、「食べさせられません」と告げる。 美咲が遅れたのは、心臓病を患う義父のために味噌汁を作り直していたからだった。義母から渡された“秘伝のタレ”には、義父の薬と組み合わさると命に関わる危険な成分が含まれていた。 しかも瓶の底には、義母自身の筆跡で《服用厳禁/致死性不整脈誘発確認済》と残されていた。単なる嫁いびりではなく、八年前から続く恐ろしい企みが明らかになり、夫と親族の立場は一気に逆転する。怒り|嫁姑|夫婦|裡の顔|修羅場1.9万字5 65 -
完結第25話
義母が倒れた夜、隣人が私を止めた理由
午前一時、夫から「母が脳卒中で倒れた」と連絡を受け、病院へ急ごうとした美緒。だが車に乗る直前、隣人の氷室に止められる。前輪の下にはブレーキ液が漏れた跡があり、義母本人へ電話すると「倒れていない」と告げられた。 防犯映像に映っていたのは、出張中のはずの夫・達也。裡切られた|夫婦|真相|介護3.0万字5 39 -
完結第13話
夫が毎日3回トイレを磨く理由
結婚五年。紗季は、温厚で家事にも協力的な夫・玲央と、四歳の娘・莉乃と平穏に暮らしていた。ただ一つ奇妙だったのは、夫が毎日三回もトイレを掃除し、誰にも触らせなかったこと。 ある日、法医学者の親友・美代子が、トイレの排水設備から人間の歯と古い血痕の痕跡を発見する。調査を進めると、この家では六年前、玲央と同棲していた婚約者が突然姿を消していた。夫婦|真実|真相1.5万字5 260 -
完結第12話
母に贈った家を狙う親戚夫婦
母への恩返しに建てた家へ帰ると、親戚夫婦が勝手に住み着き、食卓を囲んでいた。しかも二人は近所に「自分たちの新居だ」と触れ回り、家まで奪おうとしていた。 裕子は怒鳴らず、警備会社への一本の電話をきっかけに、入退室記録、録音、登記、映像を着実に集めていく。 これは家を取り戻すだけでなく、断れずに生きてきた母が初めて「ここは私の家です」と声を上げる物語。静かな反撃と、母娘が本当の安心を取り戻す再生の一篇。裡切られた|兄弟姉妹|裡の顔|親子関係|修羅場1.8万字5 87 -
完結第12話
二十六年目の告白
余命わずかな夫・浩司は、妻ゆみに衝撃の告白をする。二十六年前、ゆみが産んだ息子と愛人の子を、病院で密かにすり替えたというのだ。 だが、ゆみはすべてを知っていた。夫の行動を目撃し、名札を元へ戻していたため、浩司が愛人の子だと信じて溺愛してきた誠は、紛れもなくゆみの実子だった。夫婦|真相|親子関係|修羅場|不倫1.7万字5 23 -
完結第16話
赤いガーベラと私の家
母の形見の絵を嫁に勝手に売られ、家事を当然のように押しつけられてきた50歳の愛子。限界を迎えた彼女は、母の保険金で購入した小さな家へ一人で移り住む。 ところが長男夫婦は、新居まで「実家」と決めつけ、家事をしてもらうつもりで強引に引っ越そうとする。愛子は荷物の受け取りを拒み、専門家の助言を得て、同居を認めない意思を書面ではっきり示す。 やがて母の絵は親切な購入者の手によって戻り、愛子は長男夫婦に「この家にあなたたちの部屋はない」と告げる。彼女が去った古い家では、夫も息子夫婦も、これまで愛子が背負っていた家事の重さを初めて知ることになる。兄弟姉妹|嫁姑|夫婦|相続|金銭問題1.6万字5 74