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"妻の予定表に書かれた「最終日」" 第11話

返事のない夜

の夜、僕は古いスマートフォンのバックアップをいた。探偵の写真や妻の私物を調べるのとは違い、自分が送った言葉を確かめたかったからだ。過のメッセージには、仕事の連絡に混じって紗季とのいやり取りが残っていた。「夕飯いらない」「終になる」「先に寝てて」。それに対する妻の返事は「分かった」「お疲れさま」「気をつけて」がほとんどだった。読みめるほど、僕は自分の言葉が報告ばかりで、問いかけになっていないことに気づいた。

のには、妻から夕方に「今は何ごろ帰れる?」と届いていた。僕は会議のあとに同僚とむ約束を入れ、「遅くなるから先に寝てて」と返信した。紗季は「解」と返している。それきりだった。アルバムの写真の裏にあった「今も来なかった」という字が浮かんだ。妻は僕に来てほしいとかなかった。けれど僕が忘れていいと言われたわけでもない。僕はつを都よく同じものにしていた。

さらに遡ると、のに「母の検査、結果がた」と紗季から連絡があった。僕は「解。今は会」と返している。、義母が術を受けたことはっていたが、その結果を妻がどんな気持ちで待っていたのかは聞かなかった。幸いきな病気ではなかったが、紗季は検査のにで病院へ付き添い、帰りに母親を自宅まで送っていた。

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僕はその夜、仕事の成功を祝う会の写真を同僚に送っていた。

翌朝、紗季が朝の支度をしているに、僕は義母の検査のことを尋ねた。「の、配だったよね」と言うと、妻はし驚いてを止めた。「配だったよ。検査の結果がるまで眠れなかった」。僕は「その、何も聞かなかった」と謝った。紗季はしばらく黙ってから、「うん。聞いてくれなかったね」と答えた。鳴られるよりも、その静かな確認の方が僕にはかった。

「どうして言ってくれなかったの」と、僕は危うくにしかけた。だが妻はメッセージを送っていたし、でも話したのだろう。僕が聞く姿勢を持っていなかっただけだ。「あのは、本当にごめん」と言い直すと、紗季は頷いたが、すぐには笑わなかった。「もう済んだことだよ」とも言わなかった。過の来事は終わっても、そこでだった記憶は消えない。僕はその当たりのことを、今さら学んでいた。

仕事へ向かう、紗季が「最、どうしたの」と尋ねた。「急にいろいろ聞くようになったから」。僕は正直に「今まで聞かなさすぎたとって」と答えた。妻は僕を見て、しだけ目を伏せた。「そうってくれたのは、嬉しい。でも、私が今までどんなふうに過ごしてきたか、数で全部分かるわけじゃないよ」。僕は頷いた。彼女は責めているのではなく、僕が期で帳尻をわせようとすることを警戒しているのだと分かった。

昼、紗季からいメッセージが届いた。「母があなたによろしくって」。僕は先の話を義母にもしてくれたのかと考えたが、返事には余計なことをかなかった。「こちらこそ。体に気をつけてと伝えて」と送る。義母の顔をい浮かべると、病院できりだった紗季のが、ようやくし現実のものとしてじられた。

会社で昼を取りながら、僕は帳の余についた。「謝ることと、許してもらうことを同じにしない」。妻が何を選んでも、僕はそれを聞かなければならない。関係を取り戻したいという自分の希望を伝えるに、彼女がどれほどで考えてきたのかをる必がある。がづくほどはくなったが、僕は初めて、そのを妻に片づけてもらおうとはわなくなっていた。

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