みかん小説
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"妻の予定表に書かれた「最終日」" 第16話

窓の向こうの

レストラン灯のに着いたのは、分だった。僕は入の脇にち、ガラス越しに内を見た。と同じ窓際の席に、紗季が座っている。濃い緑のカーディガンを着て、メニューを閉じたところだった。テーブルには分のグラスとカトラリーが並んでいる。向かいの子は空いたままで、妻はその子を見ていなかった。窓のをき交うを、静かに眺めていた。

僕はすぐに扉をけられなかった。あの席に座ることは、毎待っていたのへ今さら割り込むことだ。来たことだけで許されるといたくなかったし、妻が僕を歓迎するとも限らない。窓に映る自分の顔は、仕事帰りの疲れたの男だった。結婚したの僕も同じ所にち、彼女に会えるのが嬉しくてに扉をけた。あれから、同じ扉がこれほどくじられるとはわなかった。

員が紗季の席へづき、何かを尋ねた。妻はし考えてから、予約帳らしいものを指さした。僕は窓にづきすぎないようにしながら、内の様子を見た。紗季はさく笑い、員は丁寧にをげた。のやり取りには、く通ってきた客とのとの自然な親しさがあった。僕のらないに、このでは紗季がで来ることが当たりになっていたのだ。

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「今で、最にしてください」。扉がいた拍子に、その言葉だけがまで聞こえた。紗季の声だった。員は「毎ありがとうございました」と答え、くをげた。妻は「こちらこそ。ずっと、ありがとうございました」と微笑んだ。僕は胸の奥をく押されたような気がした。最終というのは、婚届をすでも、僕を責めるでもない。彼女がこので僕を待つ、最のだった。

紗季は員に何かを尋ねられ、首を横に振った。追加の料理を断ったのか、もうし待つのかを聞かれたのか、からは分からない。僕はのへ入りさえすれば答えがるとっていたが、妻の選択は僕の登とは関係なくんでいる。そのことを忘れずにいたかった。

のでち尽くしていると、入の真鍮の鈴が鳴った。別の客がてきたのだ。僕は反射にを譲り、そのがってから扉を見つめた。帰ることもできた。妻の最のを邪魔せず、あとで謝るという選択もあった。けれど僕は、その「あとで」を繰り返してきた。今また同じことをすれば、来の自分も同じ言い訳を探すだろう。

僕は扉をけた。鈴の音に員が顔をげ、続いて紗季が振り返った。彼女は驚いたようには見えなかった。ただ、僕が本当にそこにいるかを確かめるように、しばらく目をわせていた。

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僕は入から数歩み、「遅くなった」と言った。のどこから遅れたのか、自分でも分からなかった。妻は「来たんだ」と静かに答えた。

「うん」と言うと、紗季は空いた子へ線を向けた。「どうして?」と尋ねられ、僕は言葉を失った。スマートフォンの通を見たから。探偵を雇ったから。アルバムを勝にいたから。ここへ来た理由のどれもが、妻の信頼を裏切る為につながっている。僕はそので取り繕うことをやめ、「話さなきゃいけないことがある」と答えた。

員が「お連れ様でいらっしゃいますか」と尋ねた。紗季は僕を見たままし考え、「はい」と答えた。その言に、僕は救われた気持ちになりかけた。しかし彼女は続けて、「今だけは、そうです」と静かに言った。僕は頷き、まだ子に座らずにいた。妻が許してくれたのは、せいぜい今夜ここで話すことだけだった。それ以のを勝に付け加えることは、もうしたくなかった。

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