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"妻の予定表に書かれた「最終日」" 第17話

あなたを待つのを

「座っていい?」と僕は尋ねた。紗季は向かいの子を見て、「そこ、あなたの席だから」と答えた。僕は子を引き、ゆっくり腰をろした。テーブルには僕の分のナプキンが畳まれ、グラスにはまだが注がれていない。員が静かにを入れ、メニューを置いてれた。たったそれだけの作が、何も止まっていた計をかすようにじられた。

「ここに毎来てたんだね」と僕が言うと、紗季はし目を細めた。「ってたの?」。僕は正直に「らなかった。昨まで」と答えた。妻はそれ以問い詰めず、窓のへ目を向けた。「最初のは、で来たよね」。僕は頷いた。目に来られなかったことを謝ると、彼女は「そのは仕事だから仕方ないとった」と言った。「目も、目も、そうおうとした。でも何も続くと、仕方ないって言葉が何をするのか分からなくなった」。

「毎、予約してたの?」と聞くと、紗季は頷いた。が忙しいには別のを提案されたが、のに窓際の席をお願いしてきたという。「分にしておけば、もしあなたがいして来ても座れるでしょう」。僕は目ののグラスを見た。妻は僕を試していたのではない。来るかもしれないのために、席を残していただけだった。誰も座らない子を用することが、どれほど疲れる為なのか、僕は像したこともなかった。

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「おのも、ずっと分を用してくれたの?」と尋ねると、紗季は頷いた。「目は遅れて来るかもしれないって説したの。その次のからは何も聞かずに席を取ってくれた」。僕は員が妻へ向けた丁寧な会釈をいした。あのたちは妻の事を全部っていたわけではない。ただ、で来た客が分の席を望むことを、笑わずに受け止めていたのだ。

「最初はね、来なくても写真を撮っておけば、来緒に笑えるとったの」と紗季は続けた。「目は寂しかったけど、目は仕事を応援したい気持ちもあった。目には、私から言うのが嫌になった。覚えていてほしいって、言わなきゃ分からないことなのかなって」。彼女はをんだ。僕は謝ろうとしたが、妻がまだ話していることに気づいてを閉じた。

「そのうち、あなたが来ないことより、自分が毎ここへ来ていることの方がつらくなった」と紗季は言った。「来こそ、とう自分が嫌だった。私には仕事も友達もあるのに、になると、いつも同じ席であなたを待ってしまう。だから今で終わりにしようと決めたの」。彼女の声は落ち着いていたが、言葉を選ぶにいがあった。僕はそのを急かさず待った。

「ここへ来るのをやめるってこと?」と僕が尋ねると、紗季は首を横に振った。

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「このが嫌いになったわけじゃない。いつか友達と来るかもしれないし、でおいしいものをべに来てもいい。ただ、あなたが来るかもしれないとって分を予約するのは、今で最」。僕はようやく、スマートフォンにあった「最終」のを彼女の言葉で聞いた。

「じゃあ、僕たちは?」と聞くと、紗季は窓のへ線を向けた。しばらくして「まだ決めてない」と答えた。「から別に暮らして、それから考えたい。あなたが今夜来たからって、何も考えてきたことが全部なくなるわけじゃない」。僕は「うん」と言った。妻が何かを終わらせようとしていることは分かった。でも、僕との関係をどうするかは、彼女自にもまだ答えがていない。その曖昧さを、僕は受け止めるしかなかった。

員が料理の注文を取りに来た。紗季は昔から好きだった魚料理を選び、僕は同じものにしようとしてやめた。自分がべたいものを選ぶことも、相にわせることも、どちらかが無理をする理由にはならない。僕は肉料理を頼み、妻は「そういえば、あなたは昔からそっちだったね」とさく笑った。僕たちはの席で、ようやく互いに違うものを注文した。

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