みかん小説
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"月30万円の親孝行は、誰の財布から?" 第13話

スピーカー越しの審判

「う……ぐ……」 達也はに落ちた通帳を拾いげることもできず、ガタガタと膝を震わせてち尽くしていた。 逃げを完全に塞がれ、自のプライドが音をてて崩壊していく恐怖。 だが、それでもなお、男は悪あがきをやめようとしなかった。

「な、なら……カードローンで借りるまでだ! 俺には信用がある! 万くらい、キャッシング枠を使えば今すぐ用てられるんだ!」 もはや狂気だった。 母親への仕送りという名目のために、利の借にをしてまで見栄を張ろうとするその浅ましさに、私はい軽蔑を通り越してれみすら覚えた。

私はクリアファイルから、夕方に届いたばかりの義母からのを取りし、達也の顔のに突きつけた。 「これを見なさい。お義母さんが何ていているか、自分の目で読みなさいよ」

『万円なんて、私にはとても受け取れません。の灯油代がし配なだけで、あなたたちの活を壊してまで助けてもらうつもりは毛ありません』

義母の震える跡が、達也の網膜に突き刺さる。 「お義母さんはね、あなたのなんて望んでいないのよ。スーパーの値引きシールを気にする常ので、ほんのしの温もりを求めているだけなの。あなたが親戚に自したいがために、借までしてを送りつけるなんて、親孝でも何でもない。

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ただの自己満の暴力よ」

「ち、違う……俺は、母さんを……!」 達也が必に言葉を絞りそうとした、まさにその瞬だった。

ピロリロリロリン、ピロリロリロリン――!

静まり返ったリビングに、達也のスマートフォンの着信音がけたたましく鳴り響いた。 テーブルので激しく振する画面。 そこに表示されていたのは――【母さん】の文字だった。

達也の全がビクッとねがった。 昼、の窓で「残です」と言い渡されて逃げした息子の異様な様子を配し、い詰めた義母が話をかけてきたのだ。 達也はスマートフォンを見つめたまま、通話ボタンを押すことができずにち尽くした。

「なさいよ」 私が背を押すように告げた。 「お義母さん、ずっと配して待っていらっしゃるわよ。あなたのその派な親孝の計画を、もう度ご本に聞かせてあげたら?」

「くっ……」 達也は観したように震える指で画面をタップし、に当てた。 「も、もしもし……母さん……」 その声には、昨夜親戚の叔父に話していたの威勢の良さは欠片も残っていなかった。

私は達也の横へ音もなく歩み寄ると、画面に表示された【スピーカー通話】のアイコンを、無言でタップした。 これ以、このので嘘や誤魔化しを許すつもりは毛なかった。

『……達也かい?』 スピーカーから流れしてきた義母の声は、りではなく、底れぬといしみに震えていた。

『昼、で急に話を切ってびしてったけれど……何かあったんじゃないのかい?』

「い、いや……何でもないよ。ちょっと、仕事の緊急の連絡が入ってさ……」 必に取り繕おうとする達也。 しかし、半世紀以も息子を見守り続けてきた母親の直を、そんなっぽい嘘で欺けるはずがなかった。

『嘘をおつきでないよ、達也』 義母の静かで、だが毅然とした声が、リビングの隅々にまで染み渡っていった。 『窓の員さんが「残がりない」っておっしゃっていたのを、私は隣でちゃんと聞いていたんだよ。……お、毎万円送るって言ったあの話……美奈子さんは、本当にっているのかい?』

達也の息が、喉の奥で詰まった。

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