みかん小説
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"月30万円の親孝行は、誰の財布から?" 第15話

県営宅の畳

翌の曜の午。 のたいが吹き抜ける、私と達也は、隣町にある古い県営宅のにっていた。 昨の件の、私は達也に言ったのだ。 『お義母さんが本当にどれくらい困っているのか、直接ノートを見せてもらいにきましょう。あなたが像だけで語る数字ではなく、現実の活を見にくのよ』と。

エレベーターのない団の階段を階までがり、錆びたインターホンを押す。 扉をけて迎えてくれた義母・ふみ子さんは、昨夜の話のこともあってか、ひどくさく見えた。 「よく来てくれたね……さあ、がっておくれ」

畳と畳半のさな取り。 具はどれも以使い込まれた古いものばかりだったが、柱も畳も磨きげられ、凛とした清潔さが保たれていた。部の隅のさな仏壇には、しい菊のと、私が以送ったお線が供えられていた。

座布団に座り、義母がしてくれた温かいほうじ茶をすする。 達也は昨夜からすっかりさくなり、母親と目をわせることすらできずに俯いていた。 「お義母さん。急にお邪魔して申し訳ありません」私が切りすと、ふみ子さんは首を振った。 「いいんだよ、美奈子さん。私の方こそ、昨は取り乱してしまって……。でもね、おのことでこれ以迷惑をかけたくないから、私の本当の活を見てもらおうとってね」

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ふみ子さんはちがり、タンスの引きしから冊の古い学ノートを取りして、テーブルのに置いた。 表には、鉛で『計覚』とかれていた。

「これ……母さんの計簿か?」達也が恐る恐る声を漏らした。 「そうだよ。お父さんがくなってから、円単位で記録をつけてきたんだ」

ノートがかれた。 そこに並んでいたのは、達也が像もしていなかったであろう、極限まで無駄を削ぎ落とした、血の通った活の数字だった。

ヶに度支されるは、額に換算すると約万千円。 そこから、団の賃が万千円。 残りの約万千円のから、費、費、固定話代、そして用品費をすべて賄わなければならなかった。

「以はね、これでもに千円くらいは貯ができていたんだよ」 ふみ子さんはノートの数字を指でなぞりながら、寂しそうに微笑んだ。 「でも、ここで気代もガス代もがってしまっただろう? それに、スーパーのお豆腐も納豆も、円、円とがって……。番堪えたのは、これなんだよ」

ふみ子さんがノートのに挟まれていた領収をめくった。 『〇〇形科クリニック』の領収が、毎週の付で何枚も並んでいた。

「膝の骨がすり減ってしまってね。週に度、ヒアルロン酸の注射とリハビリに通わなきゃ歩けなくなってしまったんだ。

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お薬代とわせると、に万千円ほど医療費がかかるようになって……」

達也が息を呑んだ。 「母さん……膝、そんなに悪かったのか……? 俺、全然らなかった……」 「たまにしか顔を見せない息子に、が痛いだのがないだの、愚痴をこぼしたくなかったんだよ」 義母の静かな言葉が、達也の胸を鋭く抉った。 親孝を豪語していた息子は、母親がどこの病院に通い、どんな痛みに耐えているのかすら、何つらなかったのだ。

「だからね、達也。私がどうしてもりなくて困っていたのは……この医療費の万千円と、の灯油代のしになる万千円……わせて、に万円だけなんだよ」

ノートの隅に、赤鉛でさくかれた数字。 【見込み:30,000円】。

達也が親戚に自し、妻の財布から毟り取ろうとしていた「万円」というの、ちょうど分の。 それが、老いた母親が切実に必としていた、真実の支援の全額だった。

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