みかん小説
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"月30万円の親孝行は、誰の財布から?" 第17話

万円の使い

県営宅を辞し、夕暮れのをるに揺られて帰宅する、達也は言もをかなかった。 窓を流れるオレンジの夕をじっと見つめ、何かい決を胸ので反芻しているようだった。

午半、自宅に戻った達也は、いつものようにリビングのソファに倒れ込むことはしなかった。 コートをハンガーに掛け、ネクタイをすと、自らダイニングテーブルの子を引いて座った。 鞄のから、スマートフォンと、黒いつ折りの革財布を取りしてテーブルのに置く。

私はキッチンでお湯を沸かし、温かい緑茶をつ淹れてテーブルへ運んだ。 「お茶、淹れたわよ」 「……ありがとう、美奈子」 達也の声は掠れていたが、その瞳からは、昨夜までの傲な濁りが完全に消えっていた。

達也はスマートフォンの画面を操作し、自分個のメインバンクのアプリをいた。 さらに、財布のからクレジットカードの利用細をヶ分、引っ張りしてテーブルに並べた。 「美奈子。……俺の遣いの内訳を、緒に見てくれ」

達也の取り収は万円。 活費座に入れているのが万円。 元に残る自由なおは、毎万円。 これまで達也は、「俺が汗垂らして稼いだから、万もに入れてやってるんだから、残りの万をどう使おうと俺の勝だ」

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と信じ込んでいた。 だが、その万円が、毎何に消えていたのか――達也自が、初めて客観な数字として直したのだ。

「……ゴルフの打ちっぱなしとのラウンド代で、平均して万円」 達也がボールペンで細の項目を指差した。 「会社のみ会……特に曜に輩を連れてって、全額奢ってた分が、に万から万。昼飯も、毎千百円の定でして、コンビニでコーヒーとタバコを毎買って……それだけで万千円」

数字をし算していく達也のが、止まった。 「……万、綺麗に使い切ってる。貯なんて、円も残ってない」 達也はを抱え、く息を吐きした。

「俺……輩に『課、ごちそうさまです!』って言われるのが気持ちよくて、毎何万もドブに捨ててたんだ。母さんが週に度のヒアルロン酸注射代を節約しようか悩んでるに、俺は居酒で晩に万も万も散財して……」 達也の肩が、激しく震えた。 「俺は、がないがないって美奈子を責めてたけど……がなかったのは、がの計じゃない。俺ののだったんだ」

私は湯呑みを両で包み、静かに夫の言葉を受け止めた。 ここで慰めの言葉をかけてはいけない。 夫が自らの愚かさを直し、自らのでちがる痛みを、妻が奪ってはいけないのだ。

達也はクレジットカードの細をまとめると、ハサミをに取り、最も限度額のいカードを迷わず真っつに切り裂いた。

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プラスチックがパチンと音をてて割れる。 「ゴルフは当分やめる。打ちっぱなしもかない。み会はに度、自分の会費だけの次会で切りげる。輩に奢るのも輪際やめる。……昼飯は、から自分で筒を持っていく。美奈子、おが許してくれるなら、おにぎりつだけ握ってくれないか」

達也は私に向き直り、テーブルのに両をついて、々とをげた。 「俺の万円のから、無駄遣いを削れば、万円なんて余裕で作れる。……母さんの医療費と灯油代の万円は、俺個の遣いから、俺の責任で毎送る。美奈子の料を当てにするような真似は、度としない。……本当に、すまなかった」

それは、昨夜のように通帳の証拠を突きつけられて苦し紛れににした謝罪ではなかった。 自らの収入と支の現実に直面し、自分の痛みを伴って責任を背負うことを決した、の男としての本物の謝罪だった。

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