みかん小説
本棚

"月30万円の親孝行は、誰の財布から?" 第18話

本当の夫婦の形

くをげ続ける達也のつむじを見つめながら、私は胸の奥底で、張り詰めていたたい氷が、音をてて溶けていくのをじていた。 「……顔をげて、達也さん」

達也が恐る恐る顔をげた。その目は真っ赤に充血し、涙の跡が頬に残っていた。 「美奈子……許して、くれるか……?」

「許すとか許さないとか、そういう話じゃないわ」 私は居まいを正し、真っ直ぐに夫の目を見据えた。 「あなたが自分のお遣いを見直して、自分のできる範囲でお義母さんを助けると決めたこと。その決断は、とても派だとうわ」

達也の瞳に、微かなが差した。 「でもね、達也さん。私たちがこれからやり直すために、つだけ絶対に守ってほしいルールがあるの」 「ルール……? 何でも言ってくれ。何でも守るから」

「これからは、がのすべての数字を、で共することよ」 私は引きしから、しい学ノートを取りしてテーブルの央に置いた。 表には、『篠原・共財務管理簿』とかれている。

「あなたが活費座に万、私が万入れる。その計万円ので、何にいくら使われ、何がしているのか。毎の料に、でこのノートをいて確認するの」 「ああ……分かった。必ずやる」 「そして、突発な費がた――蔵庫が壊れたり、子供の宿代がかかったりしたは、私が黙って補填するのをやめるわ。

広告

その都度、あなたに『今は万円りないから、お互いのお遣いから万千円ずつしいましょう』と相談する。あなたも、自分の親のことや趣のことでおが必になったら、独断で決めずに必ず私に相談する。……いいわね?」

「もちろん相談する! 絶対に勝に決めたりしない!」達也は何度も頷いた。

「それから、もうつ」 私はし声をらげ、微笑みかけた。 「お義母さんのことよ。毎の万円の仕送りは、あなたが自分のお遣いから責任を持って送しなさい。……でもね、もし将来、お義母さんがきな術をすることになったり、介護が必になってまとまったおが必になったは、話は別よ」

達也がハッと息を呑んだ。 「そのはね、あなたで抱え込ませたりしないわ。がの貯からいくらせるか、どうやって支えっていくか、夫婦で恵を絞りましょう。……族なんだから」

「美奈子……お……」 達也の目から、再び粒の涙が溢れた。 夫は両で顔を覆い、声を殺して泣きじゃくった。 自分がどれほど残酷に妻を蔑ろにし、その財布を当てにしていたか。それにもかかわらず、妻は自分をただ罰するのではなく、対等なパートナーとして共に歩むを用してくれたのだ。

「ありがとう……ありがとう、美奈子……! 俺、まれ変わるよ。本当に、おと子供たちを切にするから……!」

その夜、私たちは結婚して以来初めて、隠し事も嘘もない、本当の計の数字をすべてノートにき込んだ。 の期講習代、陸の部活の来の征費、そして義母への万円の仕送り。 卓を叩く音は、昨夜までのような孤独な響きではなく、で未来を切りくための、力いリズムに変わっていた。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: