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"13年前に消えた娘が、元隣人のSNSにいた" 第3話

タイムラインの霊

スマートフォンの画面をぼんやりと指先で弾いていたえみのが、ある投稿のでぴたりと止まった。

青いを背景にした、まぶしい差しののスナップ写真。画面部に表示された投稿者の名に、えみは目を疑った。

『武田竜』

「……武田さん?」

わずさな呟きが唇から漏れた。

武田竜。かつて、までの真隣にんでいた男性だった。

当の記憶が気に蘇る。竜は元の務に勤める物静かな男で、妻の志保とともに、とは族ぐるみの付きいをしていた。週末には庭の垣越しに庭菜園の野菜を分けい、バーベキューに招きうほど親密な関係だった。くるみのことも実の姪のようにがってくれ、庭で遊ぶくるみに「おーい、くるみちゃん、今も元気だな」とよく声をかけていたものだ。

しかし、くるみが失踪したわずかヶ、武田は突然、を売り払って鎌倉から姿を消した。「親の介護と経済な理由で、方へ引っ越すことになった」と、憔悴しきった様子で挨拶に来た志保の顔を、えみは今でも覚えていた。当、娘を失ったばかりのえみたちには、隣の引っ越しをく気にかける余裕などなかった。その、隣のは転売を繰り返し、現では民泊施設として観客が入りする建物へと変わっていた。

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なぜ、も音汰のなかった元隣の投稿が、今になってアルゴリズムの気まぐれでタイムラインに流れてきたのか。

投稿にはい文章が添えられていた。

『久しぶりに娘と伊豆のへ。波がくて最だった。きくなっても、こうして付きってくれることに謝』

添えられていた写真は枚。

枚目は、サーフボードを抱えてに焼けた笑顔を見せる、代半ばになった武田竜の姿。

枚目は、岸沿いのテラスカフェで並んで座る、アイスクリームのグラス。

そして、枚目の写真を目にした瞬、えみの臓は鐘のように乱打を始めた。

そこに写っていたのは、波打ち際で青いウェイクボードにをかけ、カメラに向かって眩しそうに微笑んでいる、、歳ほどの女の全写真だった。

肩まで伸びた、し癖のある栗の髪。細い眉のアーチ。そして何より、笑ったときにの角だけがわずかにがる、独特の嬌のある表。

「……え?」

えみはタブレットを両で握り直し、画面をピンチアウトして女の顔を最限に拡した。

息が止まりそうだった。歳でを止めたくるみの顔ちが、もし順調に成して歳になっていたら——そう毎し続けてきた女の面が、驚くほど正確な輪郭を持ってそこにしていた。

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「まさひろ……ちょっと来て!」

キッチンのフライパンを片付けていた雅弘が、妻の尋常ではない叫び声に驚いて振り返った。

「どうしたんだ、急に声をげて」

「いいから、く! これを見て!」

りでやってきた雅弘のへ、えみは震えるでタブレットを押し付けた。雅弘は怪訝そうに眉をひそめ、画面を覗き込んだ。

「これ……武田さんじゃないか。懐かしいな、伊豆にいるのか。……それがどうしたんだ?」

「この子よ! この写真の女の子を見て!」

雅弘は画面の女を見つめ、数秒に困惑したように首を傾げた。

「武田さんの娘さんだろう? 元気そうじゃないか」

「武田さんに、子供なんていなかったじゃない!」

えみの鋭い言に、雅弘の表が凍りついた。

「……え?」

「いしてよ! 武田さんご夫婦、子供が欲しくて何も妊治療に通っていたけど授からなくて、諦めたって……バーベキューのとき、志保さんが泣きながら私に打ちけてくれたじゃない! あのご夫婦に、こんなきな娘さんがいるはずがないのよ!」

雅弘の顔から血の気が引いていくのが分かった。しかし、彼はすぐにを振って理性の鎧を纏い直そうとした。

「いや、待てよ、えみ。引っ越したに養子を迎えたのかもしれないし、親戚の子を引き取ったのかもしれないだろう。も経っていれば、庭の事なんていくらでも変わる」

「養子ですって? そんな偶然があるとう!?」

えみは奪い取るようにタブレットを引き寄せ、さらに画面をスクロールした。着姿の女の元、の太ももの付け根にい部分が、に照らされてわになっていた。

そこに、くっきりと写り込んでいたもの。

皮膚のよりわずかに濃い、指の爪ほどのきさの、さな『型の茶のあざ』。

「見て……! このあざを見てよ!」

えみの叫びは、もはや鳴にかった。

「くるみのにあったあざよ! まれたときからあった、あののあざ! 顔だけじゃない、髪の癖も、このあざまで完全に致してるのよ!」

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