"元夫の再婚式に招かれた私には、秘密がある" 第2話
、私だけが責められていた
その夜、誠を寝かしつけたも、私はなかなか眠ることができなかった。かぶりに見た健の顔がかられない。以なら彼の声をいすだけで胸が締めつけられたのに、議なことに今じているのはしみではなく、いふたをしていた記憶がつずついていくような覚だった。
結婚当初の健は、本当に優しかった。
「由美を絶対に幸せにする。俺の族も由美の族も、同じように事にするよ」
プロポーズされた夜、私はその言葉を疑わなかった。
ところが田の男の嫁になった途端、私は「由美」というのではなく、「男に跡取りを産む嫁」として見られるようになった。
久美子は域の婦会や町内会で顔が広く、何より世体を切にするだった。正や法事には親戚が集まり、私は朝から晩まで台所にたされた。料理の、お茶のし方、座布団の向きまで注され、それでも最には必ず「く孫の顔を見せてくれれば文句はないんだけどね」と笑われた。
子供ができないことに番傷ついていたのは私自だった。
だから治療を始めた。
最初の頃、健は緒に病院へ来てくれた。「焦る必ないよ」と言い、私のを握ってくれたこともある。ところがが過ぎるにつれ、彼は検査を避けるようになった。
広告
「俺は仕事が忙しいんだよ。男の検査なんて必あるのか?」
医師から夫婦双方の検査を勧められても、健はそう言って逃げた。
私は自分に原因があるのだとい込んだ。
薬を増やし、治療法を変え、痛い処置にも耐えた。帰宅に吐き気でけなくなっても、久美子の事を作りにったことさえある。
「それくらいで寝込むなんてげさね」
久美子は私を見て言った。
「子供を産める体にしてもらってるんでしょう。頑張るのは当たりじゃない」
私は笑うしかなかった。
自分が傷ついていると認めてしまえば、本当に壊れてしまいそうだったからだ。
夫婦関係が決定に変わったのは、婚の半だった。
それまで装に無頓着だった健が、急にしいシャツやジャケットを買うようになった。休には鏡ので髪をえ、今まで使ったこともない甘いりのまでつけた。
「最、若い取引先と会うことがいんだよ。司としてだしなみくらいちゃんとしないと」
私が尋ねると、健は鏡越しにそう答えた。
しかし目はわなかった。
帰宅も遅くなり、スマートフォンを常に伏せて置くようになった。入浴にもトイレにも持っていき、ロック番号まで変更した。
さらに私は、夫婦の活費を入れていた座からきな額が消えていることに気づいた。
広告
万円。
万円。
万円。
数週で計百万円いおが引きされていた。
「これは何?」
通帳を見せると、健は瞬だけ固まった。
だがすぐに嫌な顔になった。
「会社の付きいでて替えたんだよ。経費で戻るから、おはいちいち気にするな」
「百万円いよ?」
「俺を疑ってるのか?」
突然、健が机をく叩いた。
「誰のおかげで活できてるとってるんだ。おは仕事も減らして、病院と実をき来してるだけだろ」
私は何も言えなくなった。
けれど、その初めて確にった。
健には、私に隠している何かがある。
そして久美子も、それをっている。
実際、その頃から久美子の態度も変わっていた。
それまで孫の話ばかりしていたのに、突然何も言わなくなったのだ。
「もうあなたには期待してないから。健のの回りのことだけ、きちんとしてくれればいいわ」
たいのに、どこか嫌のよい調だった。
さらに久美子は話で誰かと話しながら、「若いっていいわねえ」「本当に楽しみだわ」と笑うようになっていた。私がづくと、慌てて話を切る。
今なら分かる。
あの頃には、美はすでに田へ入りしていたのだ。
私はソファからちがり、押し入れの奥にしまってあるさな庫をけた。
には、冊の通帳のコピー。
枚の賃貸契約。
数枚のスマートフォンの写真。
そして、健が忘れていった古いタブレットから保したメッセージの記録が入っている。
婚を告げられた数、私は健の斎で偶然これらを見つけた。
級マンションの契約者は田健。
同居欄には、林美。
契約は、私たちがまだ正式な夫婦だった期だった。
そしてタブレットに残されていたのグループメッセージ。
健。
美。
久美子。
そのグループ名は、あまりにも悪趣だった。
《しい族》
私は震える指で画面を読み続けた。
《くあのと別れてよ。もう待てない》
美。
《あとしの辛抱だよ。由美はく言えば自分からていく》
健。
そして久美子。
《慰謝料なんて払う必ないわ。子供も産めない嫁なんだから。美さんなら若いし、すぐ田の跡取りを産んでくれるでしょう》
私はその、泣かなかった。
ただ黙って、すべてを撮した。
当、なぜ婚のでこの証拠をさなかったのか。
今でも自分でも議にう。
けれどあのの私は疲れ切っていた。
そして、まだらなかった。
自分のお腹のに、誠がいることを。
その夜過ぎ。
スマートフォンが震えた。
画面には、久美子の名が表示されている。
度切れても、また鳴った。
回目の着信が途切れた直、通のメッセージが届いた。
《そっちへきます。あの赤ちゃんをきちんと見せてもらいますから》
さらに続けてもう通。
《もし健の子なら、勝なことは許しません》
私は画面を見つめ、静かに庫を閉じた。
の私なら、このだけで震えていただろう。
でも今は違う。
私には誠がいる。
そして彼らがらない証拠もある。
翌朝、久美子が玄関で最初ににした言葉によって、私はついに慮することを完全にやめた。
広告
おすすめ作品
-
完結第12話
空港に置き去りにされた妻は、もう帰らない
欧州出張から帰国したゆりを、夫と義母は成田空港へ置き去りにした。「四時間歩いて来い」と笑いながら、彼女を貧しいラーメン屋の娘だと見下して。 彼女は、夫の不倫や会社資金四千八百万円の横領を示す証拠を、すでに揃えていた。 空港から一本の電話をかけた三時間後、取引停止が相次ぎ、夫の会社は大混乱に陥る。嫁姑|夫婦|修羅場1.8万字5 685 -
完結第20話
結婚翌朝、五分遅れの朝食が暴いた秘密
結婚翌朝、朝食が五分遅れただけで、夫から親族全員の前で平手打ちされた管理栄養士の美咲。彼女は謝る代わりに、義父の御膳を床へひっくり返し、「食べさせられません」と告げる。 美咲が遅れたのは、心臓病を患う義父のために味噌汁を作り直していたからだった。義母から渡された“秘伝のタレ”には、義父の薬と組み合わさると命に関わる危険な成分が含まれていた。 しかも瓶の底には、義母自身の筆跡で《服用厳禁/致死性不整脈誘発確認済》と残されていた。単なる嫁いびりではなく、八年前から続く恐ろしい企みが明らかになり、夫と親族の立場は一気に逆転する。怒り|嫁姑|夫婦|裡の顔|修羅場1.9万字5 1427 -
完結第20話
妻の事故と、五歳の娘が見抜いた嘘
事故で下半身不随になった妻を前に、夫・大介は「僕が君の足になる」と誓う。ところが五歳の娘・春だけは冷たく「帰る」と言い、父に病室の毛布の下を見るよう促した。 そこに隠れていたのは、事故当時に妻と一緒にいた浮気相手。家族を置いて密会していた妻は、事故の賠償や介護まで夫に押しつけようとする。 幼い娘の一言で裏切りを知った父が、離婚と親権確保を決断し、娘と二人で新しい生活を始める物語。夫婦|真実|真相|親子関係2.0万字5 14 -
完結第10話
13年前に消えた娘が、元隣人のSNSにいた
2009年、自宅から忽然と消えた四歳の娘・くるみ。母のえみは、娘の部屋を十三年間そのまま残し、帰りを待ち続けていた。 失踪から十三年後、元隣人のSNSに十七歳の少女が写る。成長した娘に似た顔、同じ三日月形のあざ、そして少女の名前も「くるみ」だった。ミステリー|夫婦|真実|真相|親子関係1.6万字5 8 -
完結第20話
月30万円の親孝行は、誰の財布から?
夫から突然告げられた、義母への「毎月三十万円」の仕送り。妻・美奈子は反対せず、静かに「いいよ」と答えた。 三日後、銀行で残高四万円を知らされた夫は激怒する。だが美奈子は、二十二年間で家計へ補填した一千二百万円超の記録を並べ、「その三十万円、誰の収入から出すつもりだったの?」と問い返す。嫁姑|夫婦|介護|金銭問題2.8万字5 16 -
完結第15話
白米だけの夕飯を出されたので、家を出ました
年度末の仕事を終えて帰宅した麻子を待っていたのは、冷めた白米だけの夕食。夫と義母は特上寿司を食べながら、「反省したらおかずを出す」と笑った。 「外で牛丼でも食べてきたら?」という夫に、麻子は静かに「分かりました」と答える。しかし彼女は半年前から新居や弁護士の手配を進め、大切な荷物も運び終えていた。嫁姑|夫婦|第二の人生|修羅場2.0万字5 156 -
完結第20話
妻の予定表に書かれた「最終日」
妻の予定表に記された、結婚記念日の「最終日」。夫は離婚を疑うが、その言葉には、十四年間積み重なった妻の孤独が隠されていた。 毎年同じレストランに二人分の席を予約し、来ない夫を一人で待ち続けていた妻。彼女は今年を最後に、待つことをやめようとしていた。夫婦|真相|第二の人生2.8万字5 82 -
完結第12話
母に贈った家を狙う親戚夫婦
母への恩返しに建てた家へ帰ると、親戚夫婦が勝手に住み着き、食卓を囲んでいた。しかも二人は近所に「自分たちの新居だ」と触れ回り、家まで奪おうとしていた。 裕子は怒鳴らず、警備会社への一本の電話をきっかけに、入退室記録、録音、登記、映像を着実に集めていく。 これは家を取り戻すだけでなく、断れずに生きてきた母が初めて「ここは私の家です」と声を上げる物語。静かな反撃と、母娘が本当の安心を取り戻す再生の一篇。裡切られた|兄弟姉妹|裡の顔|親子関係|修羅場1.8万字5 1821