"妻の事故と、五歳の娘が見抜いた嘘" 第7話
剥きしの醜悪な本性
「民の塀に突っ込んだって言ったな」 介がややかにマサを問い詰める。 「相のの損害賠償はどうするつもりだ? も破したんだろ。おが無職なら、誰が弁償するんだ?」
マサがごもっていると、ベッドのから咲が、信じられない言葉を投げかけてきた。 「そ、それは……うちの自保険を使えばいいじゃない! うちのファミリー特約があるでしょ!? だって介の名義なんだから、うちで払えば済む話じゃないの!」
介はを疑った。 浮気相と倫ドライブをして、のに突っ込み、その賠償を夫の保険と財産で支払えと言うのか。 「……咲。お、本当に正気か?」
「正気よ! だってマサはおがないのよ!? 刑務所に入られたらじゃない!」 「なのは、おたちに裏切られた僕とだろ!!」
介の咆哮が、病の空気を震わせた。 介はポケットからスマートフォンを取りし、徹な瞳で咲を見ろした。 「咲。……婚しよう」
その瞬、咲の表が劇に凍りついた。 「え……? ちょ、ちょっと待ってよ介! 婚って……どういうこと!?」 咲は狂ったようにシーツを叩いた。 「さっき、あんた言ったじゃない!『咲が歩けないなら、僕がになる』って!『どこへでもおんぶして連れてく』って言ったじゃないの!? あれは嘘だったの!?」
「あれは、おが被害者だとっていたからだ」
広告
介は吐き捨てるように言った。 「倫相と遊んで、自業自得で事故を起こした女のになる気なんて、これっぽっちもない。……が必なら、そこにいる無職の浮気相にでもなってもらえばいいだろ」
「嫌よ!!」 咲は叫び、隣につマサを鬼のような形相で睨みつけた。 「こいつは無職なのよ!? になるどころか、自分のでつことすらできないクズなのよ! 事故の損害賠償で何百万も借を背負うような男に、私の介護ができるわけないでしょ!? 介、お願い! あんたが面倒を見てよ! あんたは企業の正社員で、ボーナスだってあるじゃない!!」
マサが傷ついたように顔を歪めた。 「ち、ちょっと咲……それはないだろ……」 「うるさいわね! 事実でしょ! あんたが事故なんか起こしたから、私のがかなくなったんじゃないの! 責任取れないくせに図々しいのよ!」
その醜悪な罵りいを見つめながら、介は背筋が凍るようないがした。 これが、自分がし、涯を共にすると誓った妻の本性だったのか。 困っただけ夫に縋り付き、になれば浮気相すら平気で切り捨てる。 彼女がしていたのは、介でも、マサでも、でもない。 ただひたすらに、「自分自の寧」だけだったのだ。
広告
おすすめ作品
-
完結第15話
元夫の再婚式に招かれた私には、秘密がある
離婚から五か月後、元夫が若い再婚相手を連れ、結婚式の招待状を届けに来た。だが由美が抱く生後二か月の男児を見た瞬間、元夫の笑顔は凍りつく。 由美は離婚時、すでに妊娠していた。さらに彼女の手元には、元夫の裏切りと消えた夫婦の財産を示す証拠も残されていた。 捨てられた妻が過去を暴くだけでなく、息子とともに自分の人生と安心して帰れる家を取り戻す再生の物語。夫婦|親子関係|不倫2.6万字5 3 -
完結第10話
13年前に消えた娘が、元隣人のSNSにいた
2009年、自宅から忽然と消えた四歳の娘・くるみ。母のえみは、娘の部屋を十三年間そのまま残し、帰りを待ち続けていた。 失踪から十三年後、元隣人のSNSに十七歳の少女が写る。成長した娘に似た顔、同じ三日月形のあざ、そして少女の名前も「くるみ」だった。ミステリー|夫婦|真実|真相|親子関係1.6万字5 8 -
完結第20話
月30万円の親孝行は、誰の財布から?
夫から突然告げられた、義母への「毎月三十万円」の仕送り。妻・美奈子は反対せず、静かに「いいよ」と答えた。 三日後、銀行で残高四万円を知らされた夫は激怒する。だが美奈子は、二十二年間で家計へ補填した一千二百万円超の記録を並べ、「その三十万円、誰の収入から出すつもりだったの?」と問い返す。嫁姑|夫婦|介護|金銭問題2.8万字5 16 -
完結第16話
雪の空港で消えた四人と第七格納庫
1989年のクリスマスイブ、北海道の空港から四人の客室乗務員が姿を消した。車には荷物と靴だけが残され、手掛かりのないまま35年が過ぎる。 2024年、解体中の旧格納庫で隠し部屋が発見され、事件は再び動き始めた。浮かび上がったのは、空港内部を熟知し、彼女たちを密かに監視していた元整備士だった。ミステリー|真実|真相1.9万字5 2 -
完結第15話
白米だけの夕飯を出されたので、家を出ました
年度末の仕事を終えて帰宅した麻子を待っていたのは、冷めた白米だけの夕食。夫と義母は特上寿司を食べながら、「反省したらおかずを出す」と笑った。 「外で牛丼でも食べてきたら?」という夫に、麻子は静かに「分かりました」と答える。しかし彼女は半年前から新居や弁護士の手配を進め、大切な荷物も運び終えていた。嫁姑|夫婦|第二の人生|修羅場2.0万字5 156