みかん小説
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"妻の事故と、五歳の娘が見抜いた嘘" 第19話

毛布のを覗いた理由

「あの……咲が事故に遭って、病院に駆け込んだだ」 介はくの杏のを見つめながら、静かに語りかけた。 「は、咲の病に入ってすぐ、ベッドの元へっただろ。そして僕に『毛布のを見てないのか』って言った。……は、どうしてあんなことをしたんだ? どうして、毛布のに誰かが隠れているって分かったんだ?」

はしばらくの、揺れる自分のローファーの爪先を見つめていた。 が、のポニーテールを優しく撫でていく。 やがて、はさく息を吸い込み、胸の奥底に秘めつづけてきた真実を、静かに語り始めた。

「……お父さん。私ね、あのよりずっとから、ってたんです」

「え……?」介は息を呑んだ。

「事故のの曜も、そのの曜も……お母さんは『の』って言ってかけてたでしょ? でもね、ある曜の夕方、私、お母さんのスマホの画面を見ちゃったんです」 の声は、静かだったが、確かなみを持っていた。 「画面にね、あのおじさんの顔と、『も介に嘘ついて抜けしてきてね』っていうメッセージが映ってたの。お母さんは慌てて隠したけど……私、字が読めたから、全部分かっちゃったんです」

介の喉が詰まった。 歳だった娘が、母親の裏切りを、父親よりも先にっていたというのか。

「お母さんは、お父さんに嘘をついて、私を置いて、あのおじさんに会いにってるんだって……子供ながらに、悔しくて、しくてたまらなかったです。

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でも、お父さんに言ったら、お父さんがしむとって……言えなかった」

は顔をげ、介の瞳を真っ直ぐに見据えた。 「そして、あのの病院。病に入った、ベッドの横にね、男物のスニーカーが脱ぎ捨ててあったんです。がついた、きなスニーカー。お母さんの靴じゃない、男のの靴。……そして、ベッドのシーツの元が、自然にモコッと盛りがってて、微かに震えてた」

「……それで、確認したのか」

「はいです」 はさく頷いた。 「お父さんがお母さんに抱きついて、『になる』って泣いてるのを見て……私、絶対に許せないってったんです。嘘をついて事故を起こしたくせに、まだお父さんを騙して、利用しようとしてるお母さんが、許せなかった。だから……お父さんが話してる隙に、ベッドの元にって、毛布の隙を覗いたんです」

の瞳に、かすかな涙が浮かんだ。 「そしたら……あのおじさんが、息を潜めて丸まってた。私と目がったら、指をに当てて『シーッ』ってしたんです。……その瞬、私のでお母さんは、完全に終わったんです」

介は言葉を失い、震えるでの肩を引き寄せた。 歳の幼い女が、どれほどの恐怖とりを抱えて、あの毛布の端を握りしめていたのか。 父親を守るために。父親がこれ以騙されないために。 さな体を震わせながら、自らので母親の化けの皮を剥ぎ取ったのだ。

「……すまなかった。お父さんがけないばかりに、おにそんな辛い役目を背負わせて……」 「ううん、違うよお父さん」 は首を横に振り、介の腕に顔を埋めた。 「私、あの、毛布をめくって本当に良かったとってるです。だって……めくらなかったら、お父さんは今でもお母さんに利用されて、ボロボロになってたかもしれない。……私がお父さんを守ったんです。そうでしょ?」

の誇らしげな笑顔に、介の目からい涙が零れ落ちた。 「ああ……そうだ。が、お父さんを救ってくれたんだよ。ありがとう、……本当に、ありがとう」 は公園のブランコので、のを超えて、魂の底から通じっていた。

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