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"十八年勤めた売り場を追われた日、恩返しが始まった" 第6話

役員たちの最敬礼

「せ、専務……! これは体どういうことでしょうか!」

森は慌ててネクタイを直し、揉みをしながら専務の元へ駆け寄った。顔には必の営業スマイルを貼り付けている。

「納品が止まるなど、代未聞の事態です! 週末の特売に穴がけば、当百貨としてもな契約履として御社を訴えざるを得なくなります! 至急、代替便の配を——」

しかし——。

専務は森の言葉などに入っていないかのように、瞥もくれず、その横をややかに通り過ぎていった。

「え……?」

森が呆然と振り返る。専務だけではない。ろに続く数名の取締役や法務部たちも、森を傍ののように無し、売りの央通へとんでいく。

そして、彼らはあるの物のでピタリと歩みを止めると、然と横列に並び、直の姿勢を取った。

「「「会、お待たせいたしました」」」

な男たちの声が、静まり返ったフロアに響き渡った。

役員たちが腰を度に折って最敬礼を捧げているその線の先。

そこにっていたのは——。

昨まで、この売りで番い百円の弁当を買い、森が「用がないならく帰れ」と吐き捨てた、あのくたびれたブルゾン姿の老だった。

「な……」

森の顎がれそうになった。目玉がびそうになり、喉の奥からヒュッと引きつった音が漏れる。

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「と、藤堂……さん……?」

藤堂周は、ゆっくりと森に向き直った。その瞳には、昨までの好々爺とした柔らかなは微もなかった。百戦錬磨の経営者だけが放つ、を射抜くような絶対な威厳。

「森、だったな」

藤堂のく乾いた声が、静まり返ったフロアの隅々まで染み渡っていく。

「昨、あなたは私にこう言ったね。『用がないならく帰れ』と。……だから今は、正式な取引先の会として、用事を作って来てやったぞ」

森の顔から、完全に血の気が引いていった。全の毛穴から汗が噴きし、膝がガクガクと震えて止まらない。

「そ、そんな……まさか……藤堂品の……創業者であられる、藤堂周会……!? め、滅相もございません! 昨はお客様のお姿をじげず、変な失礼を——」

「失礼? 私がっているのは、私個が無礼を働かれたからではない」

藤堂は静かに首を横に振った。

「私が問いたいのはただつだ。昨、あなたが誇らしげににした言葉の真だよ。『働いたから何なんだ、代わりはいくらでもいる』……そう言って、川千鶴さんを切り捨てたな?」

森の息が詰まった。

藤堂は背に控える専務に軽くを伸ばした。専務が恭しく差しした黒革のファイルを、藤堂は受け取り、森の胸元へと突きつけた。

「これは、当社が過にわたり、この舗における商品の販売向を独自に分析したデータだ。

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めくってみろ」

震える指先で森がファイルをく。そこには、森が本部に提していた売報告とは全く異なる、々しい詳細な数字が並んでいた。

「あなたがとして着任してからのこのヶ、売りの廃棄ロス率は同比で〇%ねがっている。逆に、客単価は減した。なぜか分かるか?」

藤堂の声が、さらにくをうように響いた。

「あなたが『効率化』と称して、常連客の好みを無した陳列をい、さらには川千鶴さんを接客からしたからだ。川さんがバックヤードに追いやられたこの週、彼女が担当していた特製惣菜の売は、週比で半減している」

森の目が泳いだ。「そ、それは……候や曜によるなブレでして……」

「言い訳をするな!」

藤堂のが、鳴のようにフロアを震撼させた。周囲の従業員たちがびくりと肩を震わせる。

「数字だけを見て商売をしている気になっていたのは、あなたの方だ! 商売の基本はだ! 商品をし、お客様をし、その架けとなるがいるからこそ、数字はからついてくるんだ! 、度も遅刻せず、お客様の体調や好みをすべて記憶し、商品の価値を誰よりも理解して届けてきたを『代わりはいくらでもいる』と切り捨てるようなに、この売りを預かる資格など欠片もない!」

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