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"十八年勤めた売り場を追われた日、恩返しが始まった" 第9話

千鶴の逆提案

千鶴がをいた瞬、藤堂周の表がわずかにらいだ。

「川さん、何か言いたいことがあるのかね」

千鶴は背筋を伸ばし、周囲につ本部、事役員、そして藤堂品の幹部たちをゆっくりと見渡した。

「藤堂会。そして、本部。私のような介の契約社員のために、ここまでのお計らいをいただき、より謝申しげます。、名もなきお弁当を美しいとじたあのの気持ちを、会が今まで覚えていてくださったこと……販売員として、これ以の名誉はありません」

千鶴の言葉に、藤堂はく頷いた。

「だがな、川さん。あなたは当然、このに残るべきだ。本部も約束した通り、これまでの理尽な通告はすべて撤回だ。それどころか、あなたを特任アドバイザーとして正社員待遇で遇し、相応の報酬を用させよう」

本部が縋り付くように顔をげた。「ええ、その通りです! 川さん、も幅に引きげ、定も撤廃いたします! ですから、どうか……!」

しかし、千鶴は静かに、しかし断固とした所作で首を横に振った。

「いいえ、本部。私だけを特別扱いしていただくわけにはまいりません」

「え……?」

本部だけでなく、周囲の従業員たちも息を呑んだ。

千鶴は元にいつくばる森を見ろし、それから売りの片隅でそうに見守るパート仲の森川彩佳たちへと線を向けた。

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「この売りには、私と同じように、何も庭や活の事を抱えながら、真面目に棚を磨き、お客様をお迎えしている契約社員やパートの仲がたくさんいます。子育てをしながら朝の品しにてくる若いお母さんもいれば、親の介護のにレジを支えている仲もいます。もし私が、企業の会のろ盾があったからといって、自分だけ正社員になり、特別待遇を受け取ってしまえば……それは、森がやろうとした『理尽な格差』と何つ変わらなくなってしまいます」

千鶴の瞳には、切の迷いがなかった。

「私が誇りにってきたのは、肩きや雇用形態ではありません。こののエプロンを締め、お客様の顔を覚え、美しいものを届ける『の販売員』としての誇りです。だからこそ、私だけが救われるような形での復帰は、お受けできません」

「川さん……では、どうすれば……」

本部が途方に暮れて尋ねると、千鶴は本部の目をまっすぐに見据えて言った。

「つだけ、お願いがあります。この売りで働くすべての非正規雇用のスタッフの労働環境と評価制度を、根本から見直してください。齢や契約形態だけでの価値を決めつけ、使い捨てにするような制度を撤廃してください。現で誰がどれだけお客様を切にし、商品のロスを防ぎ、誠実に働いているかを正当に評価する仕組みを作ってください。

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……それが約束していただけないのなら、私はんでこの制を脱ぎます」

静寂が売りを支配した。

歳の契約社員が、巨百貨の役員陣に対して突きつけた、魂の逆提案。

自分の保や利益のためではない。ともに売りを支えてきた仲たちの尊厳を守るための、毅然とした求だった。

藤堂周の元に、満そうない笑みが広がった。

「聞いたか、本部」

藤堂のく力い声が響いた。

「これが、現で、お客様と向きい続けてきたの言葉だ。数字と理屈だけで机の空論をこねくり回してきた貴様らに、この言葉のみが分かるか」

本部は震えるで膝を握りしめ、千鶴に向かって直角にをげた。

「……川さんのおっしゃる通りです。全面に、全面にその求を受け入れます! 直ちに本社の事制度改革プロジェクトをちげ、非正規雇用の処遇改善と、現主義の評価制度を構築いたします! 約束します!」

フロアのあちこちから、抑えきれないすすり泣きの声が漏れた。彩佳をはじめとするパートの女性たちが、で顔を覆いながら涙を流していた。

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