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"愛人と帰国した夫、30分の猶予" 第18話

「な……に……?」

「社員のモチベーションを考慮して社内では公表していなかったがね。君は契約を取るだけ調子のいい甘言を弄し、契約が成したのアフターケアやフォローを完全に放棄している。そのせいで、どれだけのクライアントが激して社へ流していったか、君は把握しているのかい?」

清川社の会社ががけているのは、単なる売り切りの製品ではなく、期な運用を提とした業務支援ツールやアプリの発だ。何よりもなのは、顧客との期な信頼関係と丁寧なコミュニケーションなのだ。

「君がマメにケアしていたのは、契約相の女性担当者だけだったようだね」

清川社は懐から通のファイルをし、テーブルのに落とした。

「私たちの仕事は、々の暮らしをITで豊かにすることだ。瞬速の売だけを誇り、で砂をかけるようなに、が社の板を背負う資格はない。……ましてや、社になろうなどと、百いんだよ」

く、ドスの利いた社の言葉が、憲吾のプライドを々に砕した。

私はかつての商売代をいしていた。

指名を取るだけなら誰でもできる。本当に難しいのは、お客様と真摯に向きい、信頼を築き、何も通い続けてもらうことなのだ。憲吾は、その最も本質な部分を何つ理解していなかったのだ。

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蛇に睨まれた蛙のように直する憲吾に対し、清川社はさらに追い打ちをかけた。

「にも、君には本社でじっくり事を聴取しなければならない件が積みなんだ。社内チャットアプリを悪用した女性社員への適切なメッセージ、取引先への過剰な営業、そして複数の女性部からがっているセクハラとモラハラの告発状……週けの朝、役員で待っているからね」

社が浮かべた徹な微笑みに、憲吾は完全に崩壊した。

かつて自信に満ち溢れていたを丸め、ソファーので子犬のようにさくなって震えている。義母は完全に気を失い、ただの抜け殻のように虚空を見つめていた。

「咲子さん、翔太君。私は先にで待っていますね」

清川社が静かにリビングをてった。

私たちも荷物をまとめてちがろうとした、翔太がふいに歩みを止め、項垂れる父親のへと歩み寄った。

「パパ」

憲吾が、すがるような目で息子を見げた。

「……たくさん習い事をさせてくれて、ありがとう。僕、泳で百メートル以泳げるようになったし、英会話も常会話なら困らないよ。これは、パパのおかげだとってる」

翔太は穏やかな、しかし度と交わることのない境界線を引くような声で言った。

「ピアノ教は別のところに変えるけど、ピアノはずっと続けるよ。

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……パパも、結先のことを、今度こそ切にしてあげてね。バイバイ」

翔太はそれだけ告げると、度も振り返ることなく玄関へと向かった。

息子の背を見送った憲吾は、両で顔を覆い、子供のように声をげて泣き崩れた。

ボロボロと溢れる涙が、畳を濡らしていく。

私はその無様な姿にわずかな慨を抱きながらも、迷うことなく踵を返し、がの玄関扉を静かに閉ざした。

話しいから数、私と翔太は、謝の印として清川社を内の落ち着いたレストランへと招待した。

個の座敷で料理が運ばれると、私は改めてくをげた。

「清川社、今回は本当にありがとうございました。社のお力添えがなければ、私たち親子は今頃どうなっていたか分かりません」

すると、清川社は困ったように眉をげて笑った。

「もう、咲子ちゃん。その『社』って肩きはやめてよ。敬語も禁止ね」

そのやり取りを見て、翔太がクスクスと笑い声をげた。

「それにしても、本当にすごい偶然だよね。ママと清川さんが、の同級だったなんてさ」

そうなのだ。

清川社――清川竜君は、私の母である県の、元クラスメイトだったのだ。

当からずば抜けてが良く、の男子徒とは線を画す落ち着いた性を漂わせていた彼とは、席が隣同士になった期があり、数学や英語の勉をよく教えてもらった記憶があった。

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