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"金色の髪を隠して嫁いだ私と、無口な写真師の約束" 第5話

んだ娘への

「叔母さんが写真を頼んだんですか」。子が尋ねると、湊は台帳を確かめた。が来たのは縁談が決まるので、古い封筒に入った写真を枚だけ複写してほしいと頼んだという。湊は写真の状態が悪く、元の持ち主の許しも分からなかったため、引き受けなかった。台帳には「依頼品持ち帰り」と追記されていた。

子は母の写真ではないかとい、翌、のを訪ねた。嫁入りしてまだ数しか経っていないのに、叔母は玄関をけるなり子の髪を見て顔をしかめた。「もう塗るのをやめたのかい。写真は変わり者だから、そんな格好も許すんだろう」。子は言い返さず、に複写を頼んだ写真について尋ねた。のが瞬止まった。

「何でもないよ。古い写真を理していただけさ」。は奥の部へこうとしたが、子は初めて玄関から先へまず、そので待った。「母の写真なら、私にも見せてください」。叔母は振り返り、たい目で子を見た。「嫁にった途端、偉そうになったね。あの男に何を吹き込まれた」。子は自分がりたいことを、のせいにされるのが嫌だった。

はしばらく黙っていたが、やがて古い菓子箱を持ってきた。には母の若い頃の写真が枚と、国の切が貼られた封筒が数通あった。

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写真の枚には、髪のい母が見らぬ男性の隣で笑っていた。男性は子と同じ淡いの髪をしていた。子が震えるで写真を持ちげると、は「その男がおの父親だよ」と言った。

「も来ていたんですか」。子は封筒の消印を見た。母がくなったの付がいくつもあり、宛名には子自の名がかれていた。は面倒そうに肩をすくめた。「国の字なんて読めやしない。子どもに見せても仕方ないだろう」。しかし封筒のうち通だけはけられ、の便箋に赤鉛で本語の訳がき込まれていた。

子は学で習ったわずかな英語を頼りに、父の名を読んだ。エドワード・グレイ。便箋の最初には「Dear Tsukiko」とあり、そのに「おまえの誕を忘れたことはない」と訳されていた。子は顔をげた。「父は、私のことを覚えていたんですね」。は答えず、菓子箱を取りげようとした。子はだけをしっかり抱え、渡さなかった。

そのときは、隠していた満を吐きすように言った。「あんたを育てるのに、どれだけがかかったとう。あの男からしばかり送が来たって、りるわけがない」。子はを疑った。父からが届いていたことさえ、度も聞かされていなかったからだ。はを滑らせたと気づいたのか、すぐに「昔の話だ」

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と言って台所へ逃げた。

のをるとき、子は写真を枚とも持ってよいか確かめた。は「好きにしな」と吐き捨てたが、子は母の顔が写る写真だけは丁寧にへ包んだ。父の顔を見ても、すぐに懐かしいとはえなかった。それでも母がその隣で笑っていることが、子には何より切だった。

写真館へ戻ると、子は湊に事を話した。湊は英語を流暢には読めなかったが、港で働くに翻訳を頼めると言った。ただし、をに見せるかどうかは子が決めることにした。で封筒を付順に並べると、母のも数、父が子にき続けていたことが分かった。最の通だけ、消印がほかよりしかった。そのには、がいたらしい本語ののきが、別に折りたたまれていた。

子が最の封筒をくと、にはい英文が入っていた。彼女は先ほどのきをもう度広げた。片にはの字で、「この子はもうこの世にいません。今、もも送らないでください」とかれていた。父のの末尾には、たった、英語でこう記されていた。もし子がきているなら、どうか誰か、私にらせてほしい。

子は片を持つを止めた。叔母は自分に、父が故郷へ帰ったきり忘れたのだと言い続けてきた。

だが父の方には、娘がんだというらせが届いていたのかもしれない。子は湊を見つめ、声を絞りした。「叔母さんは、父に私がんだと伝えたんですか」。湊は答えられなかった。答えは、のに残された跡そのものだった。

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