みかん小説
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"金色の髪を隠して嫁いだ私と、無口な写真師の約束" 第8話

母の青い布

仕物を伝う女性の撮で、子は久しぶりにののくへった。先には物の反物が並び、針を持つの背が障子越しに見えた。子が髪を隠さず通りを歩くと、顔見りの女性が度見したが、声をかけてきたのは古い得先の堀内初枝だった。「子ちゃん、写真館で働いているんだってね。お母さんの指に似ているから、すぐ分かったよ」。

初枝は母の澄と緒に縫い物をしたことがあった。子が父のの話をすると、初枝はすぐには答えず、の奥にある布箱を探した。取りしたのは、い青のさな布だった。「澄さんが、あなたのつの誕にを作ろうとしていたの。途で具が悪くなって、仕げられなかった」。子は布の端に残る細かな印を見て、母のがそこをなぞったをった。

「お母さんは、私の髪をどうっていましたか」。子が尋ねると、初枝は議そうな顔をした。「嫌っていたことなんて、度もないよ。あのは髪のにう布を探すのが好きだった。青いを着せたら、子ちゃんの顔がるく見えるって」。子は布を受け取り、胸に当てた。母の記憶はい、叔母の言葉のに埋もれていたが、しずつ形を取り戻し始めていた。

初枝は、にも事があったと話した。

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夫の残した借でを畳みかけ、澄のは幼い子を引き取ったことで所から同されたという。けれど子が歳になる頃には、の繕い物の半を子が伝っていた。「助けてもらったことと、傷つけられたことは別だよ」。初枝はそう言い、子に無理に許す必はないと伝えた。

写真館に戻ると、子は青い布を机に広げた。湊はの端を触り、「古いけれど、いいですね」と言った。子は母が自分のために選んだと説し、途まで裁たれた形を確かめた。着物にするには布がりないが、写真館で使うさな背景布なら作れそうだった。子は湊の許しを得て、窓際に青い布を吊るした。

子は母の青い布の端に残る縫い印を写し取り、裁ち方を考えた。母が作ろうとしたのは子どもの着らしく、胸元にはきやすい余裕が取られていた。ので覚えた針仕事のおかげで、子にはその夫が分かった。母のいと叔母のもとで得た技術が、同じ布のでつながったようにじた。

翌、初枝の仕事を撮した。針に糸を通す指先、裁ち台の目、布のに置かれたい鋏。子は顔を写すに必ず「この角度で撮ってもいいですか」と尋ね、嫌がるものは写さなかった。初枝は撮の途で、「さんはあんたが髪を隠さなくなったのを気にしている」

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と声で言った。子は針を持つを止めず、「もう隠すつもりはありません」と答えた。

初枝は撮のあと、子にさな裁縫具を貸してくれた。母が使っていた型の写しも緒に入っていて、そこには着るの名と寸法が丁寧に記されていた。子は母がただ美しいを作るのではなく、ひとりの暮らしにわせて縫っていたことをった。自分が写真でやりたいことに、どこか似ている気がした。

その夜、から写真館へ話がかかってきた。湊が受話器を取ると、叔母は「子にへ来るように言ってくれ」とい調で頼んだ。用件を尋ねても答えず、最に「父親から来たの話なら、余計なことをするな」と言った。湊は話を切ってから、その言葉を字句子に伝えた。子は青い布のに座り、叔母が何を恐れているのか考えた。

翌朝、子は郵便局へき、父からの送を調べられるか相談した。窓の職員は昔の記録が残っているかも分からず、本以にらせられない報もあると説した。子は無理に聞きそうとせず、元の封筒にかれた付を控えて帰った。数字が分からなくても、父がを送り続けた事実は消えない。次にに会うときは、だけでなく記録を持って話そうと決めた。

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