みかん小説
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"金色の髪を隠して嫁いだ私と、無口な写真師の約束" 第9話

窓辺の枚

の終わり、湊は子に写真館の飾り窓を任せた。毎度、季節にわせて写真を入れ替えるのが習わしだったが、最は同じ族写真がく並んでいた。子はしのの写真と初枝の仕事の写真を選び、本たちに展示してよいか確かめた。ともんで承諾し、初枝は「仕事をしている顔をに見せるなんて初めてだ」と照れくさそうに笑った。

飾り窓をえていると、通りかかったが子の髪を見て「国だ」と声をげた。母親は慌てての腕を引き、子にさくをげた。子は笑って返したが、の奥へ戻るとがたくなっていた。湊は何も聞かず、子が磨き残した硝子を緒に拭いた。誰かの好奇を浴びることには、まだ慣れなかった。

「私も枚、ここに並びたいです」。子は夕のあと、ようやくそう言った。湊はを止め、「どういう写真にしたいですか」と尋ねた。子はしばらく考え、母の青い布を背景に使い、顔も髪も隠さず写してほしいと答えた。ただし珍しい髪のを見せ物にするのではなく、写真館で働く自分として撮ってほしかった。

子は撮の夜、黒い煤の皿を探すを見た。目が覚めると、枕元には櫛とい拭いがあり、台所からは湊が湯を沸かす音が聞こえた。のでは何度塗ってもが消えなかったが、朝になって子は、そのを消す必がないのだとい直した。

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自分で写真を撮ると決めたことが、しずつ体にも伝わっていた。

撮の、子は母の布で作った襟飾りをいブラウスにつけた。髪は櫛でえただけで、油も煤も塗らなかった。湊は窓から入るを調し、子に何度も「楽な姿勢で」と言ったが、子の肩は固いままだった。そこで子は撮台の横に置かれた帳簿をに取り、いつものように客の名をくふりをした。湊がシャッターを切ったのは、彼女が顔をげて笑った瞬だった。

黒の印画には、そのものは写らなかった。それでも髪の柔らかなと、子のまっすぐな目が残っていた。湊は別に撮ったカラーフィルムを現像所へ送り、のついた写真も枚作ることにした。仕がりまで数がかかり、費用もくはない。子は自分の賃から半分をすと言い、湊はその申しを受けた。

写真が届くまでの、子は自分の顔を何度もい浮かべた。鏡に映る自分は、相変わらず慣れない髪のをしていたが、写真のでは議と落ち着いて見えた。しのが来たとき、子はその黒写真を見せた。しのは「澄さんが笑うときの目だ」と言い、しばらく写真をに持ったまま黙っていた。

現像所へ送る封筒には、撮したとフィルムの種類を細かくく必があった。

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子は湊の横で控えを作り、写真が戻るまでの数を帳簿に記した。黒写真と違い、の仕がりは現像所に任せる部分がく、いどおりにならないこともある。湊は「がきれいだからよい写真とは限りません」と言い、子はその言葉を覚えておいた。

の初め、のついた写真が届いた。湊はの奥で子に先に見せ、「窓に飾るかどうか、もう度考えてください」と言った。子は写真のの髪を見て、胸の奥にさな痛みを覚えた。隠してきたものが、町の誰の目にも触れる。それでも彼女は、写真を元の封筒に戻さず、「飾ってください」と言った。

その夕方、飾り窓に枚のカラー写真が加わった。通りを歩くがち止まり、きれいだと言うもいれば、珍しそうに首をかしげるもいた。子は帳の奥からその様子を見ていたが、やがて自分での扉をけ、へた。硝子の向こうの自分と目がったとき、逃げずにっていられたことが、何よりうれしかった。

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