みかん小説
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"金色の髪を隠して嫁いだ私と、無口な写真師の約束" 第10話

値札をつける々

子の写真が飾られてから週ほどで、写真館には見らぬ客が増えた。子どもの写真を頼むもいれば、子の髪を見たいだけでをのぞくもいた。湊は撮の注文がないには丁寧に帰ってもらい、子が客のにるかどうかは本に任せた。子は自分の姿が町の話題になることをべなかったが、写真を引っ込めるつもりもなかった。

ある昼がり、町の観振興会を名乗る片桐貞夫がを訪ねてきた。片桐は駅で産物を営み、町の催しを取り仕切る顔役だった。彼は飾り窓の写真を指して「これを観の目玉にできる」と言い、の髪の嫁を町の名物にしようと提案した。子が何をしているなのか、どんな写真を撮りたいのかには、ほとんど関がないようだった。

「写真を葉にして、駅で売りましょう。国の血を引く嫁がこの町にいるとなれば、話題になりますよ」。片桐は数字を並べ、売りげの部を写真館に払うと申した。湊は子に線を向けた。子は自分の写真をもう度見てから、はっきり答えた。「葉にはしないでください。あの写真は、私が私の姿を確かめるために撮ったものです」。

片桐は笑って受け流そうとした。「若い奥さんには難しい話だ。ご主が決めればいい」

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。湊は帳の子からちがらず、「本が断っています」と言った。片桐の顔から笑みが消えた。「町のためになる話を断るのか。写真館も商売が苦しいと聞いているが」。湊は注文帳を閉じ、話は終わりだと告げた。

片桐が帰った、子はのにち、飾り窓をもう度見た。写真のにち止まるのには、髪のだけを指さすもいたが、しのの写真に見入るもいた。子は、誰が何を見るかを完全には決められないとった。それでも、何を展示するかを自分で選ぶことだけは放したくなかった。

その晩、子は湊に写真館の経営を尋ねた。はくなった湊の父が始めたもので、建物は片桐の親類から借りていた。賃は毎払っているが、契約の更はに迫っている。湊は脅しに屈するつもりはないと言ったものの、子には簡単な問題とはえなかった。を失えば、の暮らしも、子がようやく見つけた仕事も揺らぐ。

数、が写真館へ現れた。飾り窓ので子の写真を眺め、「あの子は私が育てたんだ」と通に話していたという。に入るとは、片桐から礼の話を聞いたと言い、子を育てた分を受け取る権利があると主張した。「黒い髪で嫁にしたのに、こんな姿をにさらして。恥をかかされた私の分も払ってもらわないと」

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子は帳の奥からて、叔母のにった。「写真は私が撮ってもらうと決めました。おの話をするなら、父から届いた送のことも聞かせてください」。は目をそらし、しばらく唇をかした。「あれは活費に使った。育てたんだから当然だろう」。子はそれ以責めず、「いつ、いくら届いたのかを緒に確かめたい」と言った。

は答えず、代わりに片桐から預かったというを差しした。「もう話はんでいるよ。あんたの写真が印刷されるんだ」。そこには「髪の嫁に会える町」ときくかれた葉の見本があり、飾り窓の写真が勝に使われていた。子の名のには、らない所と「毎週曜、写真館にて公撮」という文字まであった。誰も子に許しを求めていなかった。

湊は見本を机に置き、片桐へ話をかけた。片桐は「もう印刷所に発注した」と言い、取り消すなら損害を負担しろと迫った。受話器を置いた湊は、初めて険しい顔をした。子はその表を見て、自分の髪を隠していた頃とは違う種類の怖さをじた。今度は隠れることで済ませてはいけない。自分の名と写真を、自分ので取り戻さなければならなかった。

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