みかん小説
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"金色の髪を隠して嫁いだ私と、無口な写真師の約束" 第13話

名のある仕事

「町で働くたちの写真」は、初めから順調だったわけではない。最初のに申し込みがあったのは、しのと初枝の紹介で来ただけだった。子は案内を見直し、言葉が難しすぎるのではないかと考えた。湊は料表を指して「写真館に慣れていないには、何を受け取れるのか分からないかもしれません」と言った。は見本の台を作り、撮と仕がりのをはっきりき直した。

最初のしい客は、駅の堂で働く宮原文代だった。文代はの子を育てながら、朝から夜まで鍋を洗い、を切り盛りしていた。撮の、文代はよそきの着物を持ってきたが、子は「いつもの掛けも枚撮りませんか」と尋ねた。文代は驚き、「こんな格好を写真に残すなんていないよ」と笑った。それでも仕事で撮ることに同し、子は湯気のつ鍋のにつ文代を写した。

写真が仕がると、文代は自分のをじっと見つめた。「毎こんなに働いているのに、子どもにはただの母ちゃんだとわれてる」。子は返す言葉を探したが、文代は写真を胸に抱き、「これをに飾るよ」と言った。数、堂の壁に写真が掛けられ、それを見た常連客が写真館へ来るようになった。さな注文が続き、子は帳簿に初めて自分の企画の売りげを記した。

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しかし、町の反応は温かいものばかりではなかった。で魚を売る女性の撮を申し込んだとき、夫が「女の働く姿をに見せるな」と断ってきた。子は無理に説得せず、本の希望を聞いた。女性は族と相談してから決めると言い、結局そのは撮しなかった。子は悔しかったが、写真を撮らないという選択も尊するのが約束だとった。

子は撮を断った女性のことも帳簿の余に記しておいた。名は残さず、本が相談したいと言ったときだけ対応できるようにした。数、その女性がで訪れ、「顔はさず、魚を並べるだけ撮って」と頼んだ。子はその希望を聞き、朝のへかけるを決めた。

方、片桐の観葉は印刷が止まったままだった。原印刷所は湊のネガと注文記録を確かめ、片桐に正式な使用許を求めたという。片桐は別の写真を使うと答えたものの、すでに刷った見本を回収していなかった。子は商でその見本を見せられ、らないから「曜に撮してくれるんでしょう」と聞かれた。自分のらない約束が、町に広がっていた。

子は案内をすことにした。写真館の窓に「公撮の予定はありません。展示写真の複写・販売もしていません」といたを貼り、客に尋ねられたら同じ説を繰り返した。

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湊はもっとい言葉にした方がよいと言ったが、子はりを客に向けたくなかった。「らずに来たに、私たちがる必はありません」。湊はその考えを尊した。

ある夕方、子は自分の名が記された撮台帳を見つめた。以は仕物の仕事をどれだけしても、の売りげはのものとして記されていた。今は「撮担当 篠原子」とかれたがあり、額とともに自分の仕事が残っている。子はそれを見て、髪を隠さないことと同じくらい、名のある仕事を持つことが切なのだと気づいた。

閉、湊が暗からてくると、子は企画の次の案を話した。配の夫婦を別々に撮り、最にで並んでもらう写真。学を卒業する娘が母の働く姿を撮る写真。湊はつずつ聞き、必な具を確かめた。「全部できるかは分かりません。でも、考える価値はあります」。子はその言葉を聞き、これからの暮らしが自分のでしずつ形になるのをじた。

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