みかん小説
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"桑の音が消えた村" 第11話

注文にかれたさな字

の臨集会では、誰も最初から声をげなかった。机のに置かれたの薬剤注文を、代わる代わる覗き込んでは黙って席へ戻る。注文した数はく、取消しのための精算も決してさくない。慎造は全員ので、の被害がらかになった直、自分の判断で予約をめたことを認めた。「皆に相談せず、先に決めました」。それだけを言うのにいがかかった。

原田はちがって「また同じ薬を使うつもりだったのか」と責めた。慎造は「別の使い方なら、今度は失敗しないとった」と答えたが、りは収まらなかった。子は父を庇うのではなく、注文の取り消し条件を皆に見せた。「おを払うか、薬を受け取るかのつだけだとわないでください。違って案内されたことがあれば、販売へ確認できます」。健が会計欄を指し、まだ引き渡されていない品の数量を説した。

翌、子と健は販売の本を訪ねた。の責任者・辺は、組と慎造が署名している以、注文は成していると繰り返した。「使うかどうかはお客様が決めることです。うちは頼まれた品を揃えただけです」。子は持参したの説をき、注文に「桑へ使っても全だ」とで説した者がいたか確かめた。

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辺は困った顔をし、「正確な話を聞かずに断定はできません」と答えた。

その、健が帳の棚に気づいた。の注文記録との予約は、同じ顧客番号に挟まれていたが、の方には別の受領欄があった。署名したのは慎造だけではない。野の字もある。しかも受領の横に、「桑への餌に関する注説済」というい記載が加えられていた。健はそのを見つめ、父がで見せなかった理由を悟った。

「父はこの説を聞いたんですね」。辺は返事をせず、帳の奥へこうとした。子が呼び止め、「どちらが聞いたか、今ここで責めに来たんじゃありません。何を説したか、双方の記録を突きわせたいんです」と言った。辺はしばらく考え、翌週に社内記録を確認すると約束した。ただし、売買を全部取り消すとまでは言わなかった。

帰りの汽で健は窓を見つめていた。「親父は慎造さんに任せたみたいな顔をしてた。俺もそうってた」。子は黙っていたが、健は続けた。「説を聞いていたなら、俺たち散布の伝いをした若い者へ言うべきだった」。故郷のが見え始めると、健はポケットから帳をし、の散布に参加したの名をき始めた。

辺のをる、子は返品を求めるだけでなく、今の説をに残してほしいと頼んだ。

辺は「昔は顔を見て商売をしてきた」と言ったが、健は「顔をっているから言いにくいこともある」と返した。主はすぐには頷かなかった。それでも翌週の返答を文で送ることだけは約束した。子はそれを帳にき、付のに健の名も記しておいた。

夜、慎造は販売へったことをり、子を庭へ呼んだ。「辺に喧嘩を売っても、来の肥料を買うがなくなるぞ」。子は「と付きうなとは言ってない」と答えた。「ただ、次に買う物は皆で説を聞いてから決めたい」。父は落ち着かず煙へをつけたが、すぐ消した。「俺が番分かっているつもりだったのにな」と呟く声は、夜の虫の音に紛れそうにさかった。

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