"桑の音が消えた村" 第15話
誰が説を聞いていたのか
集会所には養蚕農だけでなく、桑畑を持たないのまで集まった。薬を撒いたのは農事組の仕事だったが、被害のに料の融通や臨の仕事で支えったのは全体だったからである。販売の辺はをげ、の品物を変更した経緯を説した。最初の注文品が揃わず、別の薬剤を提案したこと、使用の注を伝えたこと、それでも結果として混乱を招いたことを認めた。
続いて担当者が、慎造と野へ説した内容を記録から読みげた。「養蚕の桑葉への使用は慎に扱うこと。散布期について指導関へ確認すること」。会がざわめいた。慎造はちがり、「その説は受けました」と言った。い、誰もかなかった。初めて父が皆ので、聞いていた事実を認めたのである。
原田がちがり、慎造へ詰め寄った。「それなら、なぜ俺たちに言わなかった」。慎造は逃げなかった。「しい具を入れればが変わると、俺が言いした。そこで止すれば、皆がれるとった」。佐の夫が「俺たちより自分の面子が事だったのか」と聞いた。慎造は顔を伏せ、「そうだったのかもしれん」と答えた。
その、野がをげた。「説を聞いたのは慎造さんだけじゃない」。会が静まった。野は汗を拭き、「俺も緒にいた。
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注があるとりながら、濃度をくすればよいだろうと言ったのは俺だ」と認めた。健は父を見つめたが、何もにしなかった。慎造を悪者にすれば帳面がうとっていた々は、顔を見わせた。
辺も黙ってはいられなくなった。売る側として、相が養蚕農であることをりながら、分な理解のまま納品した能性を認め、取引内容について本で再検討すると約束した。ただ、先の謝罪での損失が戻るわけではない。子はちがり、農ごとの被害、散布経、現の返済負担をまとめた帳面を机へ置いた。「今は誰かに全部払わせるではありません。何を確かめ、誰がどこまで責任を持つか決めるための話しいにしてください」
辺は資料を預かり、会社と協議すると答えた。すぐに補償の額を約束したわけではない。その慎さに苛つもいたが、子は約束だけが残ることを避けたかった。話しった内容を付つきでき、辺にも確認してもらった。健は父と緒に、側の控えを部作った。
会議が終わると、原田が慎造のへ来た。慎造がをげると、原田は「許すとは言えん」と言った。「うちは牛を売ることになった。娘も今はしい着物を諦めた。何が戻っても、それは戻らん」。慎造は「分かってる」
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と返した。原田は続けた。「ただ、次からは俺たちにもを見せろ。それをおに決めさせたのは、俺たちでもあるから」。
へ帰ると、トヨが台所で豆を煮ていた。子は会議の様子を伝え、父が事実を認めたことを話した。トヨは豆をかき混ぜ、「そうか」とだけ答えた。「もっとく言えばよかったのに」と子が呟くと、祖母は「く言う勇気のない者がいるから、からでも言える所が必なんだよ」と言った。子はその言葉をく覚えていようとった。
夜、慎造は母のへ来た。トヨのへ座ると、「の、母さんの言うことを聞かんで済まなかった」とをげた。祖母は「そのことはいい」と答えたあと、「ただ、誰かに謝って終わりにするな。次の葉を摘むに覚えておきなさい」と続けた。慎造はくそのに座っていた。のでは、の虫が桑畑のから鳴いていた。
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