みかん小説
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"桑の音が消えた村" 第16話

返せないの

、で共同飼育した数の蚕が繭を作った。の損失に比べれば、得られた収入はほんのわずかだった。それでも子たちは、繭をつずつ選り分け、さを量って帳面へ記した。佐のは初めて自分の世話した繭をに取り、「これが売れたら、うちの米になるんだね」と笑った。佐は「米だけじゃなく、来の種にもなるよ」と答え、娘のから繭を受け取った。

販売からは、の未納品注文について部を取り消し、残りの品も用途を改めて相談するという返答が届いた。会社がすべての損失を肩代わりしたわけではないが、最初に請求された額よりは軽くなる見込みがった。の組は借入れの返済予定を作り直し、農協の担当者と折衝を始めた。慎造と野が署名した類を、今度は複数のの代表者が読んでから提した。

しかし数字がっても、暮らしがすぐ楽になるわけではなかった。の夕暮れはく、にがりるころ、佐のでは薪を節約するために族が部へ集まった。原田のは牛を売り、その代で急ぎの支払いを済ませたが、翌の畑仕事をどうするか見通せない。子は野菜の荷をまで続けたいとったものの、がればもも閉ざされがちになる。

そこでトヨは、子へ桑の枝の束ね方を教える代わりに、の女性たちをへ呼んだ。

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に来る仕事を考えるためだった。干し野菜や漬物、繕い物、製糸から回される単純な仕事。皆が得なことをにきすと、の女性たちが持っている技術はった以にかった。今までので当たりにやってきたことを、の仕事に結びつける話が初めてた。

子は町の商へ向き、漬物の注文を取った。量はなくても現で払ってくれる相を探し、材料代を先に計算した。昔からで作っていた沢庵も、へ売るとなればときさを揃えなければならない。最初の品は塩がすぎて返品された。子が落ち込むと、トヨは「蚕だって度でく飼えるもんじゃない。べてみてから直しゃいい」と言った。

の入には、の男たちも稼ぎの相談を始めた。慎造は自分も町の材置きで働くと言い、原田に緒にかないかと声をかけた。原田はしばらく考え、「おのせいでくようなもんだぞ」と苦く笑った。慎造は「分かってる」と答えた。「だから最初の分は、運賃を俺が持つ」。原田は断ったが、結局同じバスへ乗ることになった。

、子は集会所の会計表への仕事で得た額をき込んだ。繭代ほどきくはない。けれどの誰が何を売り、何に費用がかかったかを隠さず見せるようになった。

ある夕方、慎造が帳面を読んで「これなら次の支払いまで何とかつなげるがあるな」と言った。子はその言葉に、父がようやくの力でを救おうとしなくなったことをじた。

その晩、トヨは囲炉裏のを見ながら、子へ古い絹の端切れを渡した。「わしが嫁に来たのものだよ」。い布は何度も繕われ、も褪せていた。それでも触りは柔らかく、子にはの仕事がいをかけて残っているようにえた。祖母は「今の蚕はなかったけれど、きた分だけでも派な仕事だ」と言った。子は端切れを畳み、箱の底へ切にしまった。

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