"桑の音が消えた村" 第17話
のの集会所
の初がった夜、集会所の根からきな音がした。翌朝、軒先の部がのみで壊れていた。組の庫には修理に回せるがほとんどない。以なら慎造が材へ掛けで頼み、誰にも言わずに帳簿をからえただろう。しかし父はその、まず各戸へらせを回し、修理が必な所と費用の見積もりを集めた。
集会所には男も女も集まった。の騒から半く経ち、族の事はしずつ変わっていた。佐は町の選果へ通い、は休みのだけの漬物作りを伝っている。原田は材置きの仕事を続け、になったら牛を借りて畑を耕す約束を取りつけていた。それでも、戸のにはまだ借を返せず、来の養蚕を諦めかけているがあった。
慎造は根の修理見積もりを黒板にいた。続いての共同散布で失った額と、現の組の借入れ残も示した。たちの顔が曇ったが、父はを隠さなかった。「何もかも急いで決めた結果がこれです」と言い、をげた。「次の養蚕のに、皆で使い方を決めさせてください」。何かは頷いたが、原田はまだ黙っていた。
子は発言を求め、根の修理について提案した。全員が同じ額をすのではなく、働ける者は仕事や運搬を伝い、へ働きにている者は能な範囲で材料費を持つ。
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齢者や病のは無理に労働をさず、できる仕事を引き受ける。昔からの共同作業に似ているが、数だけを揃えるのではなく、それぞれの事を確かめてから当番を決めるやり方だった。
その、若い男のがを挟んだ。「女が会議でをすようになって、世話が増えた」。子は返事を急がなかった。代わりに佐がちがり、「子ちゃんが帳面をつけてくれたから、うちは今、借の支払いを回遅らせずに済んだ」と言った。別のの嫁も、「女がの仕事をしてるを数えないから、いつも帳尻がわないんでしょう」と続けた。若い男はを赤くし、黙った。
会議の最に、原田がゆっくりちがった。「俺は、慎造を殴りたいとった」。誰も笑わなかった。「今でも許したとは言えん。でも、こいつが隠さず帳面を見せるなら、俺もこっちの暮らしを隠すのはやめる」。原田は自分のの借入れと、畑を続けるための費用をへいた。そして慎造へ渡し、「来、同じ違いをするなら、そのは本当にをる」と言った。
根の修理は翌週から始まった。経験のある者が梁を見て、若い者がをろし、女たちが昼の汁物を用した。子は炊きしを当然の役割にせず、誰が何働いたかを記録し、女たちの仕事も同じ表へいた。
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慎造はそれを見て、「初めて自分たちがどれだけのを借りてたか分かるな」と言った。
修理の最終、慎造は板を渡す役を買ってた。若いから「その順番では危ない」と言われると、昔なら腹をてただろうに、素直にを止めて指示を聞いた。子はしれたところでその姿を見ていた。をかすために必なのは、番きな声をすことではない。危ないと言われたにを止めることなのだと、改めてった。
修理を終えた夜、集会所にはしい灯りがともった。子は柱へを置き、傷んだとしいの境目を撫でた。古い建物を全部捨てず、使えるものを残し、必な部分だけ直していく。そのやり方が、の暮らしそのものに似ているとった。帰り、慎造は娘へ「の、おの話を聞けばよかった」と言い、子は「次に聞いてくれればいい」と答えた。
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