みかん小説
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"白線の先の女たち" 第5話

賭けない約束

久美子が男へ駆け寄ったには、入にが数集まっていた。男は昨夜の酒で話を聞き、勝に勝敗を当てる遊びを始めたのだと言った。「なんかして集めてないよ。盛りげてやろうとっただけだ」。久美子は男のからを受け取らず、「今すぐやめてください」と言った。見物たちは男から額のを受け取っており、片は未使用のまま回収された。

社は顔をしかめた。「こういうことが起きるから貸したくなかったんだ。公営の競輪が終わるからと、勝に同じことをされたら困る」。久美子は事を説し、賭けの話は自分たちと無関係だと繰り返した。だが社は首を振る。自分の敷で騒ぎになれば、取引先にまで迷惑がかかる。「今の練習は終わりだ。もうここではやらないでくれ」。

子は目ので縄がされるのを見て、男に向かって鳴った。「私たち、賭けのためにってるんじゃない!」。男は肩をすくめてっていった。りのき先を失った子は、競用の靴を履いたまま面に座り込んだ。のにはくから汽に乗って来た者もいた。澄子が交通費の話を持ちそうとしたが、誰もそのでの計算を始められなかった。

夕方、所の銭湯で汗を流した久美子は、湯の端に座っている冴子と向きった。

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「全部、私の見通しが甘かった」「そうだね」。冴子は慮なく答えた。「やりたいことと、やれることは別でしょう。だけど、あんたがらせなかったら、誰かが勝に板だけ使ったのも事実よ」。はいあいだ湯気ので黙っていた。自分たちの競技の名が、らない男の銭集めに使われたことが悔しかった。

翌、庭記者がへ来た。記事にすれば話題になるだろうと久美子は構えたが、庭は片のことをく確認しただけだった。「女子選の方が、かえって迷惑を被ったわけですね」。そしてな提案をした。町のスポーツ会館で、競輪の技術と自転の全について話す公の集まりなら、を呼べるのではないかという。競の速さは見せられない。それでもってきたの経験は残せる。

澄子はその案を気に入ったが、子は首を横に振った。「講演なんかしたいんじゃない。私はりたい」。久美子も同じだった。しかし全な所が見つかるまで、る会はけない。そこで会館では競の話をして、の広では自転の点検を見せることにした。冴子も、転倒にどう体を守ってきたか話すと約束した。

準備をめるうち、久美子は自分の膝が夕方になるとを持つことに気づき始めた。優勝したの最の踏み込み以来、階段をりるに鈍い痛みがあった。

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定吉は「度診てもらえ」と言ったが、久美子はまだ練習をやめられなかった。医者へけば、るなと言われる気がしていた。の競活で、体の限界をることだけは怖かった。

会館の申込をきげたの夜、子が封筒を持って訪ねてきた。今度は何か言いたいことがあるのか、いつもよりい顔だった。久美子が席を勧めると、子は封筒をけ、の司から渡されたを置いた。『正規勤務への復帰について』とある。指定されたまでに、朝の練習をやめて昼の勤務に戻るよう求められていた。

「私、これに判を押したら、もうれなくなります」。子は震えた声で言った。「でも押さなければ、母ちゃんの病院代が払えない」。久美子が枝の病気を尋ねると、子は答えず、もう枚のを机へ置いた。それは枝がすでに仕事を休んでいることをらせる診療所の付だった。久美子は初めて、子がり続けることの代を、娘本だけが払っているのではないとった。

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