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"四万円を断った朝" 第15話

のついた靴のままで

その、私のにはしずつ仕事が増えた。

原グループの名を広告に使うことはしなかった。

耶からもらった仕事だけで会社をきくするつもりもない。

昔の現仲。

源のりい。

度修理した運送会社からの紹介。

だが、つつ信用を積みげていった。

「さんのところは、無理な交換を勧めない」

「原因を説してくれる」

そんな評判が番嬉しかった。

以の私は、きな現をかすが価値のあるだとっていた。

今は台のトラックを翌朝までに直し、運転が「助かった」と言って帰るだけで分満できる。

耶とは、仕事のを縫って会うようになった。

とはいえ普通の恋とはかなり違った。

あるはだけ事。

あるは彼女がへ来て、事務所でコンビニのおにぎりをべる。

休にかける予定をてても、会社の緊急連絡で止になることもある。

そのたびに私は言った。

「社は変ですね」

「その呼び方、のはやめてください」

「では島さん」

「耶」

「急に難易度ががりましたね」

「何がですか」

「呼び方です」

彼女は呆れた顔をする。

それでも以よりよく笑うようになった。

原グループの改革もしずつんでいた。

田をとした正については、部調査を経て複数の取引が見直され、関係者への責任追及もんだ。

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関入札の漏洩についても、私が関与した事実はないことが正式に社内へ説された。

ある、耶が類を持ってへ来た。

「これ」

「何です?」

私の名誉回復に関する会社の正式通だった。

報漏洩への関与を否定し、当の解雇が調査戦略を含む特殊事でわれたことについて、会社として謝を示す内容。

私は最まで読んだ。

「必でした?」

耶が聞く。

「正直に言えば、もうそれほど」

「そう」

「でもありがたいです」

を机へ置く。

「はこれが欲しくて仕方なかったといます。自分は悪くないと会社全員に証したかった」

「今は?」

「に来る客が私を信用してくれれば、それで分です」

耶は私を見ていた。

「くなりましたね」

「違います」

「では?」

「狭くなったんです」

「狭く?」

「自分が責任を持てる範囲が分かった」

私はを見回した。

「昔はの評価まで全部支配したかった。でも無理でしょう。私ができるのは、こので受けた仕事をちゃんとやることだけです」

耶はしばらく何も言わなかった。

「私も真似してみます」

「何を?」

「全部の役員に好かれようとしないこと」

「それは今までもしてなかったでしょう」

「失礼ですね」

「事実です」

笑いった。

夕方、彼女が帰るになった。

黒いへ乗る、耶がを止めた。

「拓」

初めて名で呼ばれた。

私は瞬反応が遅れた。

「何です?」

「来、父の命なんです」

「はい」

「お墓へ緒に来ませんか」

は分かった。

単なる墓参りではない。

彼女にとって、くなった父は会社そのものにいだった。

その所へ私を連れていく。

私は答えた。

「きます」

「スーツで来てください」

「の作業着じゃ駄目?」

「駄目です」

「靴は?」

「のついていないもの」

私は笑った。

「努力します」

「絶対ですよ」

彼女がへ乗る。

ドアが閉まる、私は言った。

「耶」

彼女がこちらを見る。

「今、呼びました?」

「回だけです」

「もう回」

「追加料です」

「いくら?」

私はし考えた。

「万円」

耶は瞬黙り、それから窓越しに笑った。

あののに受け取らなかった万円。

結局それは、ずっと私たちのに残り続ける言葉になった。

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