みかん小説
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"家ごと消した母の反撃" 第1話

の額に注がれた毒液

ドボドボドボ、と濁ったい音がからってきた。 たさと、腔を暴力に突き刺す饐えたアルコールの臭気。 「……っ!?」 息を吸い込もうとした瞬、赤の液体が私の目蓋、孔、そしていたままの唇へと容赦なく流れ込んできた。激しくむせ返り、気管に染み入るアルコールに肺が焼けるような痛みを覚える。 「うわあ、すごい匂い! 物のワインまみれで、まるで酔して端に転がってる汚い浮浪者みたい! 滑稽ねえ、お義母さん!」 甲い、属を擦りわせたような嘲笑がリビングの井に反響した。

声の主は、男・孝志(たかし・歳)の嫁である綾(あやか・歳)だ。 派な髪交じりの巻き髪を揺らし、原のタイトなニットにを包んだ彼女のには、が半分空になった輸入ワインのボトルが握られていた。底に残った数滴を、倒れ伏す私の頂部へ振り落とすように揺らしながら、蔑みきった瞳で私を見ろしている。 私の体温は度分。数から続いていた微と、過労で倒れた夫の病疲れがなり、ほんの分だけ、リビングのいビニールソファーに体を横たえた直の惨劇だった。

「ちょ、綾、おさすがにやばいって! あはははは! ワイン本丸ごとから被せるとか、マジでコントじゃん! 最!」

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ソファーの背もたれに寄りかかり、を叩いて腹を抱えて爆笑しているのは、私の腹を痛めて産んだはずの男・孝志だった。 定職にも就かず、を過ぎてアルバイトを転々とし、実に居座り続ける息子。母親がに浮かされ、全からワインを滴らせて震えている姿を、スマートフォンのカメラで面半分に画撮しながら笑い転げている。 私の名は美穂(みほ)。今で歳になる。 にき両親の遺産と、夫・博(ひろし・歳)がまみれになって耕し続けた田畑の収益をわせ、ようやくに入れたこので、私は今、悪魔のようなに包囲されていた。

「それで、どうなの? 私たちが実に帰省しているに、ちゃんとこのリビングもキッチンもピカピカに掃除してくれるわよね? もちろん、あんたに拒否権なんてないけど」 綾は空になったワインボトルをガラステーブルのにガツンと乱暴に叩きつけた。尖ったヒールで私の元のラグマットを踏みつけ、顔を寄せて囁く。 「誇りつ残ってたら承しないから。この、ただでさえボロくて狭くて息が詰まるのよ。私たちが戻ってくるまでに、築みたいに磨きげておきなさい。もしサボってたら……次にかけるのはワインじゃ済まないからね」

「……はい。掃除して……おきます……」 私はに染まった髪の隙から、震える声でそう絞りすのが精杯だった。 「あっそ。じゃあ孝志、こ! お母さんの顔見てたら、せっかくの旅気分が台無しになるわ!」 は転がるように玄関へ向かい、ドアを乱暴に叩きつけててった。 ざかるのエンジン音。 静まり返ったリビングで、私はたいに顔を埋めた。 拭っても拭っても拭いきれない、ワインの臭い臭気。 だが、私の胸の奥底で燃えがっていたのは、悔し涙などではなかった。 余のので、度も抱いたことのない、氷のように徹で、灼のように激しい「絶対のり」だった。

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