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"誤爆LINEの夜" 第3話

俺のにある男物の靴

へ向かうので、俺は何度も自分へ言い聞かせた。

鳴るな。

殴るな。

物を壊すな。

何があっても、自分から利になるようなことだけはするな。

では分かっている。

だが胸のは、ずっと沸騰していた。

子との結婚式。

両親ので誓った言葉。

初めてで内覧へった。

具を選んだ休。

そういう記憶が、の窓に映る自分の顔の向こう側で次々と崩れていった。

午分。

最寄り駅へ着いた。

俺はコンビニにも寄らず、そのままへ歩いた。

普段なら分ほどのが、妙にくじた。

自宅が見えてくる。

リビングのかりがついていた。

当然だ。

子はにいる。

問題は、そのにもういるかどうかだった。

玄関へち、俺は度だけく息を吸った。

スマートフォンの録音を始する。

そして鍵を差し込んだ。

玄関をけた瞬、まず目に入ったのは靴だった。

俺のものではない。

黒い男性用のスニーカー。

サイズはセンチ。

壁際に揃えて置いてある。

あまりにも自然に置かれているため、瞬、こののの靴のように見えた。

つまり男は、ここへ来ることに慣れている。

俺は靴を見つめたまま数秒止まった。

の奥から子の笑い声が聞こえた。

ではない。

男の声もした。

「子、それどこ置いたっけ?」

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「寝じゃない?」

自宅の寝。

その単語を、らない男が当然のようににした。

そこで何かが切れた。

けれど議なことに、鳴り声はなかった。

逆に体が急にたくなった。

俺は革靴を脱ぎ、いつも帰宅すると同じように廊を歩いた。

そしてリビングの扉をけた。

「ただいま」

声ではない。

普通の声だった。

だが子の顔から、瞬で血の気が消えた。

ソファの横にっていた男――青敦もきを止めた。

テーブルのにはワインと分のグラス。

べかけのチーズ。

俺が張産でもらったままけずに置いていた価なウイスキーまでされていた。

「……なんで?」

最初に声をしたのは子だった。

俺は鞄をへ置いた。

「忘れ物」

「ホテルは?」

「取ってから戻ろうとって」

青が俺と子を交互に見た。

子はらかに慌てていたが、それでも咄嗟に何か言い訳を考えたらしい。

「青さんがさ、くまで来たからちょっと寄っただけ」

「へえ」

俺は青を見た。

「こんなに?」

青はぎこちなくをげた。

「すみません。会社の資料のことでし……」

「資料?」

俺はテーブルを見た。

パソコンも類もない。

あるのは酒と料理だけだ。

「随分楽しそうな打ちわせですね」

子がちがった。

「直、変な勘違いしないでよ。本当に仕事の話だから」

「俺、まだ何も言ってないけど」

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子が黙った。

その顔を見て、緒に暮らした俺には分かった。

完全に嘘をついているの顔だった。

俺はリビングを見回した。

ソファの背に、見覚えのない黒いジャケット。

には袋。

そして寝へ続く廊の端に、さな箱が置かれていた。

づいて拾う。

には、冗談で使うような玩具の錠と派な仮装用の物が入っていた。

会社の資料ではない。

俺は箱をテーブルへ置いた。

「これは?」

子の顔が赤くなった。

「それは……」

青が目を逸らした。

「会社で使うんですか?」

誰も答えなかった。

俺は子を引き、の向かいへ座った。

「まあいいよ。俺、鳴るつもりないから」

子はししたような顔をした。

おそらく俺がまだ何もらないとったのだ。

「とりあえず青さん」

「はい」

「つだけ聞いていいですか」

俺はスマートフォンをテーブルへ置いた。

「あなた、俺が今ホテルに泊まるって、誰から聞きました?」

青の表が固まった。

子が即座にを挟んだ。

「私がさっき話したの。たまたま連絡があって」

「そう」

俺は頷いた。

「じゃあもうつ」

画面をく。

子から「あっくん」へ送られてきた写真。

俺たちので、が肩を寄せている写真だった。

それをテーブルの央へ置いた。

「これは、いつ撮ったんですか?」

子のから、持っていたグラスが滑り落ちた。

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