"誤爆LINEの夜" 第6話
目の「あっくん」
玄関のにいる男は、何度もインターホンを鳴らした。
子はちがろうとしない。
俺もすぐにはかなかった。
「あーちゃん」
また声がした。
「今旦泊まりなんだろ?」
その言で分だった。
俺は玄関へ向かった。
背で子が、
「待って」
とさく言った。
だが止まらなかった。
ドアをける。
そこにっていたのは、らない男だった。
代半ばくらい。
袋をつ持っている。
俺を見ると、男は瞬固まった。
「あ……」
「誰ですか?」
俺が尋ねると、男は玄関の表札を確認した。
「部、違えました」
「子って呼んでましたよね」
男の顔が引きつった。
背から子がてきた。
「健太、帰って」
健太。
名までっている。
男は子を見て、次に俺を見た。
「旦さん?」
「そうです」
俺が答えた。
男は何かを理解したように顔をしかめた。
「俺、聞いてた話と違うんだけど」
今度は俺が子を見た。
「何を聞いてたんですか」
「別居だって」
子が叫んだ。
「健太!」
「いや、俺だって困るだろ。旦普通にいるじゃん」
男――健太は袋を持ったまま苛った声をした。
「もう婚決まってるって言ってたよな?」
の奥がくなった。
青だけではなかった。
子は別の男にも、俺との結婚活について嘘をついていた。
俺は鳴らなかった。
むしろ妙に静だった。
「いつから子と会ってます?」
広告
「直!」
「本に聞いてます」
健太は迷っていた。
やがて、
「かくらい」
と答えた。
青との関係はなくとも半。
健太とはか。
期がなっている。
つまり子は俺だけでなく、倫相同士にも嘘をついていた能性がある。
「に来たことは?」
健太は子を見た。
「回」
「健太!」
「だってもう無理だろ」
男は吐き捨てるように言った。
「俺、旦と別れるからって聞いたから会ってたんだよ。既婚者と遊ぶつもりじゃなかった」
その言葉がどこまで本当かは分からない。
けれどなくとも、子が俺へ話した「青だけ」「もう終わっている」「今が最」という説が、全部崩れた。
俺はスマートフォンの録音がいていることを確認した。
健太には帰ってもらった。
彼は何度も俺へ謝り、最に子へ、
「もう連絡してこないで」
と言ってていった。
ドアが閉まる。
子とになる。
数分まで泣いていた妻は、もう涙もないようだった。
俺はリビングへ戻った。
「何いる?」
「……」
「聞き方変える。俺がらなきゃいけない男、あと何いる?」
「いない」
「本当に?」
「いない!」
子が叫んだ。
俺は頷いた。
もう信用はしていない。
だがこれ以、今夜に追及するもなかった。
「分かった」
「信じてくれる?」
「違う」
俺は鞄を持った。
「もう、おの言葉で判断するのをやめる」
子は黙った。
「これからは証拠だけ見る」
広告
そう告げると、俺はをた。
ホテルへ戻ったのはを過ぎていた。
ベッドへ座り、俺は保した写真と録音を確認した。
青。
健太。
誤爆LINE。
会社用スマートフォンのトーク。
この点でも分だったはずだ。
それでも、眠るにもうつ確認した。
子との共カレンダー。
俺の張。
み会。
休勤。
よく見ると、そのに限って子は予定を何も登録していなかった。
偶然か。
俺は過分を遡った。
そして気づいた。
俺が泊まりの張へていたの翌朝。
なぜか毎回のように、子のクレジットカードから同じコンビニで買い物がされていた。
自宅く。
午。
暮らしなら議ではない。
だが買っている量がい。
酒。
つまみ。
朝分。
俺は画面を閉じた。
浮気は度や度ではない。
問題は、像していたよりずっといところまで続いていた。
広告
おすすめ作品
-
完結第21話
車いすの恋人に請求された三万三千円の「迷惑料」
交通事故で車いす生活となった恋人・明菜と、もう一度穏やかな日常を取り戻そうとしていた聡。明菜の誕生日、二人は思い出のフレンチレストランを訪れる。しかし待っていたのは、食事時間の一方的な短縮と、三万三千円もの「迷惑料」だった。因果応報|人生逆転|真相|修羅場2.8万字5 23 -
完結第20話
婿との温泉旅行で、仲居から渡された「逃げて」のメモ
七十歳の元大工・桐山正三は、婿の達也に誘われ、信州の温泉旅館を訪れる。亡き妻との思い出に浸るはずだった夜、仲居から渡された一枚のメモには、「その酒を飲まず、裏階段から逃げてください」と書かれていた。達也が狙っていたのは、正三が妻と築き上げた家と土地だった。必死に逃げ帰った正三を待っていたのは、娘の貯金六百八十万円の行方と、身に覚えのない不動産売買契約書。なぜ仲居は危険を冒してまで彼を助けたのか。家族の財産と娘の人生を守るため、老大工の静かな反撃が始まる。怒り|親不孝|真実|親子関係|修羅場2.8万字5 1644 -
完結第18話
父の一周忌、兄が追い出そうとした母子の契約書
父の一周忌を終えた翌朝、45歳の西村綾子は、空き家のはずの実家で見知らぬ母娘に出会う。兄の正人は「不法占拠だ」と警察を呼ぶが、12歳の少女が差し出したのは、亡き父の署名が入った三年間の賃貸借契約書だった。さらに兄は、綾子に無断で実家の売却を進めていたことが判明する。父はなぜ、家族にも知らせず母娘を住まわせたのか。そして、兄がそこまでして家を売ろうとする本当の理由とは。父の遺した一枚の契約書から、家族が隠してきた秘密が次々と明らかになっていく――。怒り|真実|絶縁|親子関係|修羅場2.2万字5 216 -
完結第18話
「少しくらい困ればいい」母をSAに置き去りにした夫の本当の狙い
家族旅行の帰り道、夫の雅人は、足の悪い七十四歳の義母・澄江をサービスエリアに置き去りにした。「少しくらい困れば、次から早くなる」。息子まで夫に同調する中、妻は必死に母を捜す。ところが、母のバッグから見つかったのは、本人が知らない老人ホームの入居申込書だった。さらに、夫が管理していた母の預金、身に覚えのない介護記録、そして車内カメラに残された会話から、旅行そのものが仕組まれていた疑いが浮かび上がる。夫婦|親不孝|第二の人生|親子関係|金銭問題2.3万字5 14 -
完結第20話
花嫁のいない結婚式
結婚式を翌日に控えた長谷川由衣は、胃痛を訴える婚約者・黒田瞬のために、心を込めて雑炊を作っていた。ところが彼の部屋の前で耳にしたのは、「あいつはただの身代わりだ」という残酷な本音。三年間の愛情も、婚約指輪も、純白のドレスも、すべて元婚約者の代わりだったと知った由衣は、誰にも告げず空港へ向かう。翌朝、二百人の招待客が待つ式場に花嫁は現れなかった。人生逆転|真実|裡の顔|第二の人生|修羅場2.9万字5 22 -
完結第10話
残高ゼロの通帳
経理主任として働く三十九歳のゆきは、同居する義母から突然、給与明細を突きつけられる。「月四十万円も稼いでいるなら、通帳は私が管理するわ」。勝手に給料の使い道を決められ、夫に助けを求めても返ってきたのは「母さんに任せれば楽だろ」という言葉だった。ついに「嫌なら出ていけ」と言い放たれたゆきは、抵抗するどころか、笑顔で通帳を差し出す。しかし、その夜、彼女は誰にも知られず一つの手続きを済ませていた。嫁姑|夫婦|第二の人生|金銭問題1.5万字5 28 -
完結第16話
四万円を断った朝
同僚に裏切られ、二千万円近い借金を背負った大橋拓人。再就職の面接へ向かう朝、雨の道路でパンクした車を見つけ、遅刻を覚悟でタイヤを交換する。女性から差し出された四万円を断り、代わりに面接先まで乗せてもらった拓人。しかし会社に到着すると、受付の社員たちが彼女に深々と頭を下げた。職場逆転|人生逆転|真相|修羅場2.5万字5 7 -
完結第18話
剣を捨てない花嫁
八歳の春、父から「今日からお前は息子だ」と告げられた澄は、道場の跡取りとして剣だけを教え込まれて育った。だが十九歳の秋、待望の弟が生まれると、父は突然、借金の肩代わりと引き換えに彼女を久世家へ嫁がせてしまう。女らしい振る舞いができず、屋敷の人々に笑われる澄。そんな彼女に夫の春臣だけは優しかった。ある月夜、春臣から差し出された木刀を握った瞬間、二人の間に隠されていた七年前の縁が明らかになる。そして澄は、自分の婚姻にまつわる思いがけない秘密へと近づいていく。時代|歴史|親子関係|修羅場1.8万字5 44 -
完結第10話
出張先で娘が「物置で寝てる」と泣いた夜
札幌へ出張中の宮崎亮平に、深夜十一時、八歳の娘・美和から一本の電話がかかってきた。 「パパ、ママと物置で寝かされてるの。寒いよ……」 半年前から同居を始めた母の貴子は、妻の早苗と娘を冷遇していた。しかし亮平は、妻の訴えを「母さんに悪気はない」と聞き流し続けていた。 翌朝、急いで帰宅した亮平が見つけたのは、外から扉を固定された物置で震える妻と娘。そして早苗が隠し持っていた一枚の契約書だった。 そこには、妻の不動産持分を妹へ無償譲渡するという信じがたい内容が記されていた。 家族を守るはずの家で、母と妹はいったい何を企んでいたのか――。祖父母と孫|真実|裡の顔|真相|親子関係1.5万字5 623