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"孫に「ここに居たければ黙れ」と言われた私が、翌朝家を出た理由" 第8話

弁当を作らなかった朝

午、私は寝の机に通帳と印鑑、分証、関係の類を並べた。何を持ちすかを考えていると、議なほどが落ち着いた。の護師活でについたのは、危のときほど順をつずつ確かめる習慣だった。私は必な類の覧を作り、の登記報とこれまでの援助記録を封筒に入れた。

押し入れの奥には、弘の遺品をまとめた箱があった。古い腕計と病院の診察券、読みかけの代説、そのに私の名がかれた封筒が通入っていた。夫がくなってからも経つのに、私はそれをけたことがなかった。入院の付がかれていて、夫の文字だと分かるだけで胸が苦しくなったからだ。

私は封筒をかず、夫の写真と緒に鞄へ入れた。類は分だけにしたが、通帳の控えと薬は忘れなかった。玄関の鍵を置いていけば戻れなくなる気がしたので、鍵は財布に入れたままにした。ここは私のであり、をることと所権を放すことは別だと、自分に言い聞かせた。

午になると、いつものように目が覚めた。毎朝なら米を研ぎ、噌汁を温め、蓮斗の弁当箱にハンバーグを詰めるだった。私は台所へったものの、炊飯器のスイッチを入れなかった。

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蔵庫にはに買った材が残っていたが、今は誰かのために朝を作る必はないとった。

ダイニングのテーブルに便箋を枚置いた。何度かき直した末、残した言葉は「お世話になりました。幸子」だけになった。謝罪もみ言もかなかったのは、言葉を増やせばまた説を求められ、最には私が折れてしまう気がしたからだ。必な話は、今度こそ第者を通してするつもりだった。

玄関をけると、たい空気が頬に当たった。庭の隅には、弘が植えたさな柚子のがある。の枝につだけ実が残っていて、夫が毎「最の個は鳥にやろう」と笑っていたことをいした。私はしばらくち止まり、それから鞄の持ちを握り直した。

千鶴のに着くと、彼女は温かいほうじ茶を用して待っていてくれた。私は病院の領収をテーブルに置き、蓮斗に襟をつかまれたこと、孝太が病院へ連れていくことさえためらったことを順番に話した。千鶴は最まで遮らずに聞き、「今は何もしなくていいから、まず休みなさい」と言った。私はその言葉を聞いて初めて、誰かのためにかなくてもよい朝があることをいした。

昼に目を覚ますと、携帯話には真理恵から何度も着信があった。留守番話には「蓮斗の弁当がないんですけど」

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「学費の引き落としがあるので折り返してください」という声が残っていた。私の首を配する言葉はつもなかった。私は話をかけ直さず、千鶴に「齢者の相談に詳しい弁護士さんを紹介してもらえないかしら」と頼んだ。

私は真理恵からの留守番話を消さずに残し、今の連絡は面で受けたいとメモした。りのまま返信すれば、また私の言葉だけが都よく切り取られるかもしれない。学の支払いについては期限があるので、必な通だけは遅らせないようにしたかった。孫の活を守ることと、私が支払い続けることは、別に考えられるはずだった。

千鶴は以から域の相談活に関わっており、桐野理という弁護士の名を挙げた。すぐに予約の話を入れると、翌々の午に相談できることになった。私は病院で撮った襟元の写真と、計ノートを机に並べた。をるまでは勇気が必だったが、てしまえば次にやるべきことがしずつ見えてきた。

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