みかん小説
本棚

"孫に「ここに居たければ黙れ」と言われた私が、翌朝家を出た理由" 第12話

見えていなかった計

孝太は休にでの細を広げ、過の支を計算した。料は毎振り込まれていたが、宅費を払わなくてよい暮らしに慣れ、残ったおを細かく確認したことがなかった。真理恵が管理する座からは、費や用品のほかに、分割払いの引き落としがいくつも並んでいた。孝太はその数字を指で追い、わず顔をげた。

「これ、何の支払いだ。毎こんなに引かれてたのか」

真理恵は最初、族に必な買い物だと言った。だが孝太が細をつずつ確かめると、具や類、旅の費用を分割にしていたことが分かった。額な贅沢を毎していたわけではないが、支払いが終わるに次の買い物をねていた。私から受け取る万円は活費のを埋めるためだけではなく、そうした支を維持するためにも使われていた。

「母さんには活が苦しいって言ってたんだろ」

「苦しかったのは本当よ。あなたの料だけじゃ、今の暮らしはできないもの」

孝太はその返事に言葉を失った。賃を払わず、費の半も母親に負担してもらいながら、今の暮らしを変えたくないからりない分を求めていたのだ。真理恵に悪だけがあったとはわない。だが、最初は申し訳なく頼んでいたおが、いつしか当然の収入として計に組み込まれていた。

広告

蓮斗はの話を階段の途で聞いていた。母親が祖母から受け取った額も、父親が把握していなかったことも初めてった。自分が欲しがったしいスマホや部活の用具が、族の活にどれだけ負担をかけていたのか、考えたことはなかった。祖母が何でも買ってくれるのは、祖母が裕福だからではなく、自分たちのために貯蓄を取り崩していたからかもしれない。

翌、孝太は学へ話し、学費の支払いについて相談した。学側は庭の事を詳しく尋ねることなく、利用できる能性のある支援制度や分納について案内した。孝太はこれまで、母親が払ってくれるからと自分で調べたことがなかった。必な類を取り寄せるだけのことを、なぜもしなかったのだろうとった。

蓮斗にも、計のことを話した。「おの勉をやめさせるつもりはない。ただ、これからは父さんと母さんが責任を持つ」。孝太がそう言うと、蓮斗はさくうなずいた。「ばあちゃん、俺にそんな話したことなかった」。孝太は首を振った。「話させなかったのは俺たちだ。おがらなかったことまで責めるつもりはない。でも、あの夜のことは別だぞ」。

その夜、蓮斗は自分の机の引きしから、学の運会の写真を取りした。祖父の弘と祖母の幸子が、だらけの自分を挟んで笑っている写真だった。

広告

祖父はもういない。祖母も、このにはいない。蓮斗は写真を机に置き、胸ぐらをつかんだときの祖母の顔をいした。あの顔を見ていたのに、自分はをさなかった。

孝太は与細も机に並べ、毎確実に払える額を計算した。賃が加わると、以のように気軽にしたり、欲しい物を分割払いで買ったりはできない。数字を見て落ち込んだが、母親の座を頼らずに暮らすには必な作業だった。孝太は初めて、妻と息子に具体な計の話をする覚悟を決めた。

同じころ、私は千鶴ので、自分の活費を計算し直していた。援助を止めればの範囲で暮らせる見込みがち、貯蓄も今すぐ失うわけではないと分かった。数字を確認して初めて、私はして眠れた。これまで族のための計簿ばかりつけていたが、自分の老を考えるはほとんど持っていなかったのだ。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: