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"孫に「ここに居たければ黙れ」と言われた私が、翌朝家を出た理由" 第19話

誰もいないで

か、孝太たちは約束したにをた。私は桐野から鍵の返却が済んだと聞き、千鶴と緒にへ向かった。玄関のにつと、柚子のにはさな芽がていた。の朝にでていったときには、もう度とここへ来られない気がしていた。けれど今は、誰に慮することもなく自分の鍵で扉をけられた。

のは驚くほど静かだった。リビングの具は運びされ、階へ続く階段のゲートもなくなっていた。には焼けしていない角い跡が残り、そこにきなソファが置かれていたことが分かった。私は部の央にち、何度も呼吸した。騒音も、私を呼びつける声も、もう聞こえなかった。

千鶴は窓をけ、内の空気を入れ替えてくれた。私は台所の引きしをつずつ確かめ、残された器がないか見て回った。階の浴には、リフォームしたときのしい鏡がそのまま残っていた。真理恵に頼まれて設置した鏡だったが、私はほとんど使ったことがない。そこに映る自分は、数かよりし顔がよくなっていた。

廊の柱には、蓮斗のを測った鉛の線が残っていた。学、、と、弘の字で付がかれている。最の線は学に入るで、そのころには弘のがし震えていた。

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私は指先で線をなぞり、夫が蓮斗のにを置いて「きくなったな」と笑っていた姿をいした。孫のしたことを許せない気持ちと、幼い孫をしていた気持ちは、同に胸のにあった。

台所の棚の奥には、古い布巾が枚残されていた。私がいつも使っていた、端にさなの刺繍がある布巾だった。蓮斗が学の庭科で初めて縫ったもので、縫い目は揃いだったが、私は捨てられずにいた。私はそれをに取り、千鶴に「これだけ持って帰ってもいいかしら」と尋ねた。千鶴は笑って「あなたののものじゃない」と答えた。

の状態を確認したあと、産会社の担当者が来て、売却に向けた今の段取りを説した。内覧の準備や必な修繕を済ませてから売りすことになり、価格もの状況を見ながら決める。私は説を聞き、急がずにめてほしいと頼んだ。く売ることだけが目ではない。弘と過ごした所を、納得できる形で次のへ渡したかった。

帰り際、私は仏のでち止まった。仏壇はしいまいにわせてさなものへえ、位牌もすでに移してあった。畳には置いていた具の跡が残り、壁のもし違っていた。私はその所に向かって、声にさずに「ありがとう」と言った。が悪かったわけではない。

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ここで暮らすたちが、お互いの気持ちを見失ってしまったのだ。

私は窓枠の埃を指で拭い、弘が休みのに脚を持ってきて掃除していた姿をいした。でを入れてきたは、し古くなってもまだ分に使える。今まで自分がしてきたことを、族に認めてもらわなければ価値がないとい込んでいたのかもしれない。私は窓を閉め、次にむが気持ちよく暮らせるようにと願った。

帰り支度をしていると、千鶴が「ここで暮らしたは消えないわよ」と声をかけた。私はうなずき、壁に残ったさな釘の跡を見た。弘が族写真を飾るために打った釘だった。写真はしい部へ持ってきているのだから、いのき先もつではないのだとった。

千鶴のに乗る、私はもう度だけ振り返った。窓ガラスにはの空が映り、庭の柚子のがに揺れていた。しくないと言えば嘘になる。それでも、このを放すことは、弘とのいまで放すことではない。私は鍵を桐野へ預けるための封筒に入れ、の助席へ座った。

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