"箱詰めされた母の人生" 第4話
千百万円のき先
産会社の田辺さんは、輔が異常なほど売却を急いでいたと話した。
「ご本である幸子さんより、ご主……娘婿さんのほうがなくらいでした。ければどれくらいで売れるか、決済の入は何程度かと何度も聞かれまして」
「母の活については何か?」
「もちろん最初はそのお話もありました。ただ、途からはかなり資面の質問に偏っていました」
母の顔が曇った。
「私、そこまで急ぐつもりはなかったの」
「輔が急がせたんだよ」
田辺さんはのため、現の続き状況も説してくれた。母が相談し、媒介に関する類を作成した段階ではあるものの、の売買そのものが完しているわけではない。
私はようやくし息をつけた。
母が「度止めたい」とはっきりを示すと、田辺さんは続きの見直しに応じてくれた。
へると夕方だった。
「やっぱり、おが目だったんだね」
私は言った。
母は駅をき交う々を見ながら、さく頷いた。
その、私の携帯が鳴った。
圭子だった。
し迷った末、私は通話ボタンを押した。
「はい」
「あゆみさん、輔から聞きましたよ。随分ひどいことを言ったそうじゃない」
を疑った。
「ひどいこと?」
「だって幸子さんはご自分で施設を選んで、ご自分でを売ろうとしたんでしょう? 輔が無理やり署名させたわけじゃないじゃない」
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「母が何を聞かされて決断したかは関係ないんですか」
「本が最終に決めたことよ」
圭子の調には、罪悪が片もなかった。
母が「娘に捨てられた」とい込まされ、絶望ので決断したことなどどうでもいいのだ。
自分たちは直接を引っ張って契約へ署名させていない。
それだけを盾にしている。
「数に話しいましょう」
私は静かに言った。
「輔とお義母さん。それから、私と母で」
「話しいって……」
「夫が何を言ったのか、こちらには記録があります」
圭子が黙った。
「そのでつずつ確認します」
私は話を切った。
母がそうに私を見た。
「丈夫?」
「丈夫。むしろ、向こうに直接説してもらおう」
実へ戻ってから、私は過かのメッセージを遡った。
《お義母さん、で頑張りたい期みたいだから、今はそっとしておこう》
《あまりをすと、かえって嫌がられるよ》
《必なことは俺が聞いておくから》
輔は絶妙な言葉を使っていた。
骨に「話するな」とは言わない。
私自に、「連絡しないほうが母のためだ」とわせていた。
翌、私は仕事を休み、母と緒に宅側の面談記録を正式に確認した。さらに田辺さんにも、これまでのやり取りの付や内容について母本から記録をお願いした。
だけで輔を責めても、彼はまた「誤解だ」
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「言い方の問題だ」と逃げる。
だから事実だけを並べる。
母にもそう説した。
「鳴らなくていい。輔が自分で言ったことを、自分で説してもらうだけだから」
母は頷いた。
「今度は私も黙らない」
数、で話しうことになった。
所は、私と輔が暮らしていたマンションだった。
午。
圭子は輔と緒にやってきた。
テーブルを挟み、私と母、輔と圭子が向かいった。
最初から輔は気だった。
「俺は誰にも無理やり何かさせてないからな」
圭子も頷く。
「そうよ。本が自分で選んだことを、今さら全部輔のせいにするなんておかしいわ」
私は宅側の面談記録をテーブルへ置いた。
輔の目が止まった。
「何だよ、これ」
「あなたが施設のに話した内容」
私は記録を読みげた。
《妻は関わりたくないと言っている》
《同席させると夫婦関係が悪化する》
輔の顔から血の気が引いた。
「私、度もそんなこと言ってない」
「それは……言葉のニュアンスの問題で」
「違う」
母が遮った。
「あなたは私にも、歩美が私を負担にっていると言った」
輔は線を泳がせた。
「そこまでのじゃなくて……」
「なら、なぜ施設のにまで同じ話をしたの?」
答えはなかった。
私は次に田辺さんから聞いた内容を突きつけた。
「族のためにいたのなら、どうしてあなたはの売却代がいつ入るかを何度も聞いたの?」
輔の額に汗が浮いた。
「それは……資計画のためだよ」
「誰の?」
沈黙。
「千百万円、何に使うつもりだったの?」
輔は答えなかった。
すると圭子がを挟んだ。
「もういいでしょう。輔だって失敗したことくらいあるわよ。そんなに追い詰めなくても」
私はその言を聞き逃さなかった。
「失敗?」
圭子の顔が固まった。
「何の失敗ですか?」
「いえ、それは……」
「お義母さんは、輔におの問題があることをってるんですね?」
「らないわよ」
返事がすぎた。
私はそこで、つ賭けにた。
「もう全部ってます」
もちろん、この点で額も理由も分かってはいなかった。
だが圭子の揺はらかだった。
「輔が私に隠してること、もう確認しました」
圭子は息をみ、次の瞬、隣の息子へ顔を向けた。
そして自分から、決定な言葉をにした。
「輔、あんた……歩美さんに全部話したの?」
その瞬、私は確信した。
この親子には、私だけがらされていないの問題がある。
そして、その秘密こそが千百万円につながっている。
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