"一等くじの切れ目" 第5話
真をに入れると、は湯呑みに触れるに戸の暗がりを確かめた。殴られたのかと子が尋ねても、「転んだだけです」と繰り返した。代わりに懐からい伝票をした。『福引等景品・洗濯、展示台、納品台』。品物が台あるように見えるが、帳簿の端には『同品、展示引渡』と追記されている。川器が展示している洗濯は、当選者に渡すための台だった。
「それなら、どうして私に渡せないの」
「渡せないんじゃないんです。渡したあとで、返してもらう約束になってたんです」
子はが分からなかった。真は膝を握りしめ、説した。商会では今、初めて価な気洗濯を等景品にした。宣伝を引き受けた川器は、卸問から展示用の品を借り受けていた。会の岩崎は来者を増やすため、等の当選者をもって決め、そので『使いの宣伝写真』を撮り、数には品を回収することを考えていた。代わりに当選者へ現をいくらか渡すという。
「そんなもの、福引じゃないでしょう」
「僕もそう言いました。だけど、商会ではもう決まってるって」
ではなぜ、洗濯を本当に必としていた子が当選したのか。真は俯いた。「本当は会のりいのへくはずだったんです。僕が当たりのを作るのを見つけて、柏さんへ聞こうとしたら、のを盗んだことにされました」
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。子のには、品の洗濯ので嬉しそうに泣いた美津の顔が浮かんだ。「娘は、どこまでってるの」。
真は答えなかった。代わりに自分の腕を見せた。作業着の、首に赤く擦れた痕があり、そこへの角が当たるたび痛むらしかった。「昨、会さんのの裏からるところを捕まって、帳簿を渡せって言われました。僕は持ってません。見つかったら、柏さんのところも調べられます」。を盗んだと噂されたが、逃げた理由がしずつ形になった。
子は戸棚から等くじをした。「これが証拠になるなら、持っておき」。真は受け取らなかった。「それは子さんが持っててください。僕が触ったら、あとから何を言われるか分からない」。の板がえて、の裸にい先が震えていた。子は古い袋をしたが、真は丁寧に断った。へ帰るつもりがないようだった。
「真さん。あなたが私に見せてくれたは、誰が切れ目を入れたの」
「僕が入れました。でも、福引箱へ入れたのは僕じゃありません」
「じゃあ誰が」
はしばらく黙った。計がを打ち、隣の戸が閉まる音がした。ようやく真はをいた。「会さんは等が別のに当たるように仕組んでいました。でも、当になって、入れるくじを取り替えたがいるんです」
。子はけなかった。真が次に言った名を、聞き違えたくてたまらなかった。
子は真の頬に湯で絞った布を当てた。は最初慮したが、子が「痛いは痛いと言いなさい」と言うと、ようやく目を閉じた。美津と同じくらいのの子供だった。が決めたことのへ放り込まれ、自分で考えて逃げるしかなかったのだろう。子はもうつ聞きたかった。「お母さんはご命なの」。真はさく首を振り、「姉がくへ嫁いでいます」と答えた。あの子には、今夜帰って叱られるすらなかった。
「美津さんです。お母さんを当てようとして、あのくじを箱に入れたんです」
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