"一等くじの切れ目" 第15話
の昼、商会の臨の集まりがかれた。岩崎のの階に畳を敷き、軒のうち軒が集まった。子は商主ではないので最初は入れないと言われたが、等くじの当選者として話を聞かれることになった。美津も来たが、母の横に座らせるべきか迷っていた。女の顔は青かった。で自分のしたことを話した夜から、気づけば何度も泣いていたのだろう。
岩崎は会の始めにをげた。「宣伝を急ぐあまり、抽選の段取りについてき届かぬところがあった」。その言い方に、たねが「き届かなかったで済むんですか」と声をげた。片桐はを挟まず、机へ類を並べた。負担の控え、景品の納入伝票、特別くじの注文控、そして井から預かった広告のき。の枚枚はさかったが、並ぶと誰が何をっていたかがしずつ見え始めた。
川器は洗濯が借り物で、代未払いだったことを認めた。岩崎も、当選者を決めた宣伝企画があったことは否定できなかった。だが彼は「商を潰さないためだった」と言った。しいへ客が流れ、買い物客は毎減っている。「このままでは、までにを閉めるところもる。私だけが得をしようとしたわけではない」。清吉をはじめ何かがうなずいた。岩崎の言い分にも、聞くに値する事があった。
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「それでも、当たるを勝に決めたこととは別でしょう」と子は言った。声を張ったつもりはなかったが、畳のまでよく響いた。「どのにも、毎の買い物を切り詰めて福引券を集めたがいます。私もそうです。買えば当たるかもしれないと信じたを、宣伝の具にしたんですか」。岩崎は答えなかった。の男たちがいる座敷で、子のだけが寒さで赤くなっていた。
その、美津がちがった。「私、当たりのくじを箱に入れました。お母さんに当てたかったからです」。座敷がざわつき、誰かが「やっぱり田のが」と言いかけた。美津は逃げずに続けた。「でも、最初からそういうくじを作れと言われてたのは真くんです。会さんの計画がなければ、私だってこんなことはできなかった」。子は娘の肩へを置き、言葉を選んだ。「美津がしたことは違いです。だから私も等を受け取りませんでした。でも、この子だけを責めて終わる話ではありません」
岩崎の妻が奥からてきた。客のへることのないだったが、そのは初めて夫の横に座った。「主が違えました。それをで止めなかった私も同じです」。夫の顔がわずかに揺れた。妻は続けた。「等だけでなく、ほかの当たりも調べてください。あのまま続けたら、来は誰もこの商で福引をしなくなります」
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畳の隅には、暮れの福引のさな景品がつ置かれていた。赤い鹸箱と、子供用の鉛の束だった。持ってきたのは、当たりを指定されたので、客へ渡すつもりだったという。「こんなさな物でも、誰かが嬉しがるとってしたんだ」とその主は言った。子は鹸箱を見つめた。景品そのものに罪はない。みんながしでも楽しい正を迎えられるようにと願ってしたもいたのだ。だからこそ、嘘の当たりが混じったことが惜しかった。
会の終わりに、片桐は提案した。福引の会計をごとに照し、当選が操作された分は取り消すこと。すでに受け取った景品については事を説し、返却ではなく分の補償方法を決めること。洗濯については現物をきちんと購入できる額を集め直し、公平な抽選方法で改めて当選者を決めること。誰もすぐには賛成しなかった。だが、反対する者も、以のやり方を続けたいとは言わなかった。
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