"一等くじの切れ目" 第21話
のある、子のへ真が訪ねてきた。以のようにこそこそ戸をたたくのではなく、松葉堂の掛けをつけて堂々と来た。にはしい帳面が冊あった。「久蔵さんから、これをお渡しするように言われました」。表には子の名がかれている。をくと、普通の計帳だった。買い物の付、支払った額、残りの。子はわず笑った。「今度は変なくじじゃないんだね」
真も笑った。「はい。切れ目はつけてません」。はあののことを忘れたくはないと言った。に頼まれると、何が正しいか確かめるにをかしてしまう自分の癖をったからだという。子は「忘れないのはいいけれど、いつまでもあの枚のくじだけで自分を決めなくていい」と言った。真はくをげて帰った。戸から見える背は、クリスマスの夜よりしきくなったように見えた。
同じ頃、佐々吉郎が自転に乗って洗濯を受け取った礼を言いに来た。「父が毎、嬉しそうにかしてます」と話した。子は「よかったですね」と言ったが、洗濯を見たの気持ちをいすと、胸がさく疼いた。吉郎はその気持ちまでろうとはしなかった。ただ、から父が使っていた古い洗濯板を修理して、よければ使ってほしいと持ってきた。
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子はし迷ったが、使える具を捨てる理由はないとい、ありがたく受け取った。
に入ると、栄の仕事はしずつ定してきた。肩の痛みは残っているが、い荷だけでなく荷札の理や荷物の数を数える仕事も任されるようになった。では正彦が学へ級し、久枝がしい靴を履いた。美津は夜に学べる教へ通い始めた。母が洗濯を欲しいと願ったと比べて、の暮らしは目に見えるほど豊かになったわけではない。それでも、誰かのだけに仕事と配を集めない方法を、しずつ覚えていた。
初、川器かららせが届いた。売りに型の変わった洗濯が入り、旧型を今までよりく売れるという。子は栄と緒に見にき、分割払いの条件を確かめた。利息に相当する数料も、毎の支払額も面で示してもらった。の気配線を確認する費用も別にして計算する。簡単には決められないが、なくとも何をいくら払うのかが分かる。子は晩考えてから、族へ相談した。
「みんな、どうう?」
美津は初めて夜の教へったに、帰りで母へ算術の問題をした。「百円ずつか貯めたら、いくら?」。子が答えると、娘は得そうにうなずいた。いままで美津のは、へ入れるか、母の負担を減らすために使うかのつしかなかった。
けれど学ぶために使うも、自分の将来を守るために必だった。子は娘に「貯も事だけど、勉の本を買う分は残しなさい」と言った。美津は「うん」と答え、教科を胸へ抱え直した。
正彦は「洗濯の当番が減るなら賛成」と言い、久枝は「学のがきれいになる」と笑った。美津はすぐ賛成しなかった。「お母さんが無理して働きすぎるなら、もうし待とう」。子は娘を見て、の暮れに同じ言葉を言ってやれなかったことをいした。のために何かをに入れる、誰かが無理をしていないか。そう考えてくれる子になったことが嬉しかった。
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