みかん小説
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"濁流の中のSOS" 第6話

夫が欲しかったもの

つ折りのは、庭用プリンターで力したA4用だった。文章はどこか自然で、インターネットの雛形をつなぎわせたように見えた。だが、何を目として作ったのかだけは嫌になるほど確だった。

私名義の預貯。価証券。結婚から持っている個資産。それらの管理、運用、処分に関する権限を夫へ委ねる――。

さらに、夫婦関係が破綻したの財産の扱いについても、夫側へ著しく利になるような文言が並んでいた。法にそのまま通用するかどうかは私には分からない。それでも、夫が何を望んでいたのかは分かる。

番には、私の署名と印鑑を押す空欄があった。

私は最のやり取りをいした。

「夫婦なんだから、は俺がまとめて管理する」

「おは細かい数字を見るとすぐになる」

「通帳と印鑑をせ。俺がちゃんと増やしてやる」

何度も言われた。あるには複数の類をテーブルへ置き、「ここに名だけけばいい」と迫られたこともある。私は内容をよく読まず、ただ気が悪くて拒んだ。その、夫は数ほとんどを利かなかった。

私は自分の貯だけ守っていれば、そのうち諦めるとっていた。

だが違った。

夫は諦めていなかった。

「凛。これ、どこで見つけたの?」

娘は膝ので指を組んだ。

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「お父さんの部のプリンター」

ある、夫が誰かと話をしていたという。「これは母さんには見せるな」とい声で話しているのを廊で聞いた。父親が部をた隙に、凛は怖くなってへ入り、プリンターの受け皿に同じ文が何枚か置かれているのを見つけた。

「お母さんの名がいてあったから」

凛は枚だけ抜き取り、さく折って防ケースの裏に隠した。誰にも見つからない所を考えた結果だった。

「勝に取ったらだめだとった。でも、お父さんの声が怖かった」

私は何も責められなかった。

歳の子どもが、自分のので危険をじ、父親の類から自分と母親に関係するものを抜き取り、非常用のGPSと緒に隠していた。そんなことをさせた庭を、私は「まだ壊れていない」と信じていたのだ。

翌、私はそのを弁護士と警察へ見せた。

担当者は内容だけで結論をさず、作成期やパソコンのデータ、夫が誰へ相談していたのかも含めて確認する必があると言った。私もそれでいいとった。ではなく、事実で確かめてもらいたかった。

ただ、この枚を見たことで、私のではつだけ確信がまれていた。

夫が私たちを川へ連れてったのは、突然腹をてたからではない。

なくとも事件のから、夫は私の財産を自分の支配へ置こうとしていた。

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そしてその求を、私は拒み続けていた。

い返せば、夫が変わったのは半ほどからだった。

計の座からまとまった額をかそうとしているのを私が止めた、初めてグラスを壁へ投げつけられた。私が将来の支を説しようとすると、顔を赤くして鳴るようになった。

そして私が泣くと、今度は急に静な顔へ戻り、スマートフォンを向けてきた。

「ほら。またヒステリーを起こしてる。これが証拠だ」

当はただ、私を傷つけるための嫌がらせだとった。

けれど今なら分かる。

夫は私のを煽り、そのだけを切り取って記録していた。

いつか私を「精神に定な妻」として説するために。

私は部のテーブルに置いたを見つめた。

川へ落とされるから、夫は準備していた。

を奪うための類と、私を信用できないに見せるための記録を。

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