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"玄関のピンクのウサギ" 第16話

戻らなかった〇万円

雄からの返済は、最初のかだけは約束通りだった。万円。振込名義を見るたび、私は「しずつでも戻るならいい」とっていた。全額を取り戻すことより、の老資を軽く扱ったことに責任を持ってもらいたかった。

ところがか目、入が止まった。松本弁護士から連絡があり、話もメッセージもつながらないという。登録されていた所へ面を送っても戻ってきた。

「雄さん、居を引き払った能性があります」

「綾乃さんは?」

「そちらも連絡がつきません」

私は驚いたが、昔のように胸がざわつくことはなかった。すでに婚し、も活も自分のに戻っている。〇万円はだ。でも、そのの方が私のそのものをする状態からは抜けていた。

数週、綾乃から突然話が来た。

「美さん……雄と連絡取れないの」

「私も弁護士から聞いたわ」

「の方にったって聞いたけど、所も分からなくて。私、今で部もなきゃいけない」

声は々しかった。

「私に助けてほしいの?」

「そういうつもりじゃない。ただ……」

「綾乃さん。あなたの息子が私に返すべきおは、法な続きので理する。逃げたなら、できる範囲で追う。でも、あなたの賃や活を私が支えることはできない」

「分かってる」

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「本当に?」

私はしだけ厳しい声になった。

「私は以、に頼られると何でも引き受ける癖があったの。でももうやめたの。あなたにも、信之にも、息子にも、自分でできることは自分でしてもらう」

綾乃はしばらく黙ったあと、「そうよね」とだけ言って話を切った。

その数か、事態はな方向へいた。松本弁護士から、雄が町で警察に柄を拘束されたとらされたのだ。私の〇万円の件とは別に、事業資をめぐる詐欺の疑いがあり、複数の被害者がいるという。

「先の債権も続きは主張できます。ただ、相に資産がどれだけあるかは別問題です」

「戻ってこない能性がい?」

「正直に言えば、全額回収は難しいかもしれません」

私は机のの計算を見た。残額は百万円。以の私なら、夜も眠れないほど悔しかったとう。でも今は、ため息をつついて終わった。

「できる続きだけ続けてください。それ以は追いかけません」

「よろしいんですか」

「はい。おは惜しいです。でも、あのを追うために私の残りのを使う方がもっと惜しいから」

自分で言って、し驚いた。の私は、万円を使うにも族の顔をい浮かべていた。今は、自分のにも値段があると考えられるようになった。

塾の仕事は順調だった。

私が授業を見直し、講師研修を始めると、徒数はしずつ増えた。井は「目をしたい」と言い始めたが、私はすぐに止めた。

「広げるに、今いる子をちゃんと見なさい」

「先らしいですね」

「当たりよ。板より」

そう言いながら、自分の結婚活のことをしいした。から真面目に見えることと、が誠実であることは違う。私はそれをい授業料で学んだ。

のある、最初の返済で受け取った万円を、私は域の子ども向け読会に寄付した。名義は自分ではなく、母の名にした。

万円で買い戻した腕輪を撫でながらった。

失ったおは戻らないかもしれない。

けれど、失ったままのにする必はない。

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