みかん小説
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"消された十六番目の席" 第13話

沢のと温かい雑煮

同じ頃、陸幹線で百キロ以れた川県沢。 朝のが障子をく照らしす、私は目を覚ました。 庭の松のには、昨夜からり積もった湿り気のあるが、そうに枝をしならせている。

「よく眠れたかい、かず子」 台所から、エプロン姿の姉・照代が顔を覗かせた。 焼き網ので、鮭がジュージューとよい脂の音をてている。 「ええ……何ぶりかしら。朝まで度も目が覚めなかったわ」 「いびきかいてたわよ」 「嘘でしょ!?」 私が慌てて顔を押さえると、姉は「嘘よ、嘘」と肩を揺らして笑った。

卓には、炊きたてのご飯、ふっくらと焼けた鮭、汁の効いた甘い卵焼き、そして夜の残りの角餅が入ったお雑煮が並べられていた。 誰かの顔を伺うこともなく、ちっぱなしでお茶を配ることもなく、子にく腰掛けていただく温かい朝。 お雑煮のすまし汁をすすると、昆布と鰹の品な旨が、え切っていた胃の腑にじんわりと染み渡っていった。 「美しい……本当に、美しいわ」 「当たりでしょ。あんた、ずっとで戦ってきたんだから。今は何もしなくていいのよ」 姉はそう言って、私のお椀に温かいお茶を注ぎしてくれた。

朝を終え、息ついたところで、私はボストンバッグからスマートフォンを取りした。

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呼吸をつして、源ボタンを押しする。 画面がるくなった瞬、ので端末が狂ったように震え始めた。 ブブブブ……ブブブブ……! その振は、分以も鳴り止まなかった。

画面をくと、恐ろしい数字が並んでいた。 【着信:件】 輔から件、麻美から件、敏さんから件、自宅の固定話から件。 LINEの通バッジは、件を超えていた。

私はまず、麻美から届いたメッセージをいた。 ごとの文面を追うにつれ、私のはどこまでも徹に澄み渡っていった。 『お母さん、子供たちのお呂どうするんですか?(21:31)』 『過ぎてとか恥ずかしくないんですか?(21:35)』 『内に恥をかかせて満ですか?(21:40)』 そして、夜過ぎに届いた最の通。 『お母さんのせいで、うちの両親に顔向けできないんですけど(00:15)』

文面のどこを探しても、私の否を気遣う言葉は文字もなかった。 あるのは、自分の都の良い政婦がいなくなったことへの苛ちと、実の親に対する見栄が崩壊したことへの逆みだけ。 (ああ……この子は、最初から最まで、私をのとして見ていなかったのね) りすら湧かなかった。ただ、これまでのの疑問が、氷解した納得だけがあった。

続けて、敏さんからの留守番話を聞いた。 『かず子さん、ごめんなさい……! 私、何もらなくて……! あの子たちの嘘に気づけなくて本当にごめんなさい! どこにいてもいいから、無事ならそれだけらせて……!』 涙声で吹き込まれた義妹のメッセージに、私の目尻から温かいものが筋こぼれ落ちた。

私は震える指先で、敏さんにだけい返信を打った。 『敏さん、ご配をおかけして本当にごめんなさい。私は今、沢の実姉のにを寄せています。ともに無事ですから、してくださいね』

送信ボタンを押した、まさにその刹だった。 画面が激しく点滅し、輔の名が表示された。 私は静かに通話ボタンを押し、に当てた。

『母さんッ!! 母さん、今どこにいるんだよッ!?』 受話器の向こうから、今にも泣き叫びそうな輔の絶叫がび込んできた。

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