"消された十六番目の席" 第17話
暴かれた見栄と、の沈黙
「……なぜ、だったのかしらね」 リビングの隅でずっと腕を組んで黙っていた敏さんが、静かにをいた。 そのの全員の線が、敏さんに集まる。
敏さんは麻美をややかに見据え、歩ずつ歩み寄った。 「の……の夕方、私、このに話をかけたのよ。正の持ち寄りや席順のことで、麻美さんに相談しようとってね」
麻美の瞳が、恐怖で見かれた。 「私、言ったのよ。『今はかず子さんの隣に座らせてね。兄さんがこのを建てた頃の苦労話、かず子さんとい話をたくさんしたいの』って。……そうしたら麻美さん、急に声がさくなって、『席のことは私が仕切りますから』って、方に話を切ったわよね?」
の夕暮れ。 台所で洗い物をしていた私ので、受話器を置いた麻美が、しばらく直していたあのろ姿。 『おば様です。持っていくものを聞かれただけです』と吐き捨てて階へ逃げていった、あの瞬。
千恵里さんが、震えるで胸を押さえた。 「……そうだったのね。敏さんがかず子さんの隣に座って、昔の話をされたら……困るからね」
「ひっ……!」 麻美が両で顔を覆い、に突っ伏した。 「バレちゃうとったのよ……!」 指の隙から、ドス黒い本音が、涙とともにボロボロと溢れしてきた。
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「お母さんたちに……ずっと自してたの! 輔が派にを継いで、になったお姑さんを引き取って同居してあげてるって! 妹の真由は結婚してすぐにタワマンを買ったのに、私だけずっと築古の賃貸で……お父さんにも『輔君の料で丈夫なのか』って配されて……!」
麻美は嗚咽を漏らしながら、を引っ掻いた。 「ここに引っ越してきた、つい見栄を張って『輔のだ』って言っちゃったの! そしたらもう、引っ込みがつかなくなって……! お呂もキッチンも、うちがおをしてリフォームしたことにすれば、親戚ので胸を張れるとったのよ!」
「麻美……」千恵里さんが絶望な声を漏らす。
「お母さんは……かず子さんは、何を言っても言い返さないだったから! 具を捨てても、部を奪っても、黙って笑ってくれてたから……! だから、お寿司の席から追いしても、してくれるとったのよぉぉッ!」
その言葉を聞いた瞬、私の胸のにあった最の澱が、スーッと消えていくのをじた。 しみはなかった。 ただ、自分が良かれとって続けてきた「沈黙」が、どれほど残酷な怪物を育てげてしまったのかという、徹な事実を噛み締めていた。
「麻美さん」 私が静かに呼びかけると、麻美はおずおずと涙に濡れた顔をげた。 「あなたが私を見し、内から排除しようとした理由……よく分かりました。
……でもね、私が沈黙を守ってきたのは、あなたに支配されるためではなかったのよ」
私はちがり、の襖をけ放った。 仏壇のに置かれた、正幸の遺。 「私はね、息子が選んだ妻と、波をてずに族になりたかっただけ。夫が遺してくれたこので、みんなが笑って暮らせるなら、自分の所を譲ることくらい何でもないとっていたの。……でも、それは違いだったわ」
私の線が、にいつくばる若夫婦を射抜いた。 「私の優しさに甘え、の尊厳を踏みにじるようなたちと、同じ根ので暮らす筋いは、秒たりともありません」
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