みかん小説
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"消された十六番目の席" 第20話

私の席がある所

の末、自宅の売買契約が正式に成した。 買いは、さな子供がいる、若い公務員の夫婦だった。 内覧の際、奥さんがリビングを見回して『わあ、ここなら族みんなが集まれますね!』と目を輝かせたそうだ。 、私の夫・正幸が梁ので両を広げて言った言葉と、寸分違わぬ言葉だった。 このは、しうしい族のもとで、再び温かな息吹を取り戻すのだ。

の引き渡しの。 私は空っぽになったがに、で戻ってきた。 具はすべて処分され、がらんとした広なリビング。 私はその央にち、目を閉じた。 の棟げ式、幼い輔の笑い声、正の賑やかな宴、そして夫の誇らしげな笑顔。 たくさんのいが、このと壁に染み付いていた。

「お父さん。ありがとう。このでの役目は、すべて終わったわ」 仏壇を閉供養し、さく仕て直したしい位牌を胸に抱き締めて、私は玄関の鍵を閉めた。 振り返ると、初の陽に照らされたが、まるで「お疲れ様」と微笑んでいるように見えた。

売却代の部を使い、私は沢の姉のから歩いて分ほどの距にある、築浅の古マンションのを購入した。 階の角部。リビングの窓からは、くに連峰の雄な並みが見渡せる。

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さな仏壇に正幸の遺と位牌を祀り、毎、自分と夫のためだけにいお茶を淹れる。 所の公民館で始めた押しサークルでしい友もでき、週に度は姉とで所のへ買い物にかける。 誰の嫌を伺うこともなく、誰かの犠牲になることもない、完璧に満ちりた自由な々。

そして――次のの、。 沢のに柔らかながう夕暮れ。 私は姉と、押しサークルで親しくなった友の、計で、駅の老舗寿司の簾をくぐった。

「いらっしゃいませ! ご予約の田様ですね、お待ちしておりました!」 威勢のいい板の声に迎えられ、案内されたのは、檜のりが漂うカウンターの特等席だった。

目のには、のつけ台と、美しく磨かれた湯呑み、そして分の箸が然と並べられていた。 誰かのために席を譲る必もない。 台所に閉じ込められてめたおにぎりをかじることもない。

「かず子さん、しいおのお祝いに、乾杯しましょう!」 友たちが笑顔で湯呑みを掲げ、姉が優しく目を細める。 目ののつけ台に、極の握りが貫、静かに置かれた。 職が丹精込めて煮げた、琥珀の煮ツメが輝く、ふっくらとした々の穴子。

頬張ると、とろけるような甘みと磯のりが、いっぱいに広がっていった。

「美しい……本当に、美しいわ」 私が微笑むと、姉が「は変だったものね」と笑いかけてくれた。

私は胸ポケットにそっとを当てた。 内ポケットには、いつも私を見守ってくれている、正幸のさな写真が入っている。

「ええ。でもね、姉さん。……今のお正には、ちゃんと私の席があるから」

窓のでは、いが静かにを包み込んでいた。 だが、私ののには今、どこまでも温かく、決して誰も奪うことのできない、の陽が満ち溢れていた。

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