"夫のいない四日間" 第8話
庭裁判所のたい子
初のたいが、霞が関の官庁をに濡らしていた。
京庭裁判所の階、調の暗い待廊。田博之は、すっかり擦り切れて膝の抜けた既製スーツにを包み、パイプ子の端にさく縮こまっていた。元には、弁護士から送られてきた分い期呼状と、数に実へ届いた督促状の。
かつての「作の夫」としての優雅な暮らしの面は、どこにもなかった。無精髭は伸び放題、頬は痩せこけ、靴底はすり減ってが染み込んでいる。
「第調、田博之さん、お入りください」
記官の無質な声に促され、博之は錆びついた形のようにギシギシとちがった。
調の央には方形のテーブルが置かれ、名の調委員——初老の男性弁護士と、厳格そうな配の女性調委員が座っていた。そしてその斜め向かいには、里美の代理である田弁護士が、然と類を広げて待している。
そこに、妻である里美の姿はなかった。
「……あの、妻の里美は……美は来ていないんですか?」
博之がおずおずと尋ねると、女性調委員が鏡の奥からたい線を向けた。
「申である田里美さんは、相方からの精神DV、および執拗な接触の危険を考慮し、別での待、ならびに代理を通じた席となっております。
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同席を希望されても許できません」
「精神DVだなんて、そんなげさな! 俺はただ、族で話しいたいだけなんです! 直接会えれば、あいつだって分かってくれるはずなんです!」
博之がを乗りして叫ぶと、男性調委員が元のファイルをパタンとい音をてて閉じた。
「田さん。論点をすり替えるのはおやめなさい。相方代理から提された証拠の数々……メッセージアプリの全履歴、写真、ホテルの宿泊確認、そして何より、奥様のクレジットカードを無断で持ちし、数百万円単位で私に消費していた細。これらすべてに、客観な裏付けがします。あなたはこれらを否認されるのですか?」
「そ、それは……確かに俺が悪かったところもありますけど! でも、男と女のことなんて、どっちにも原因があるでしょう!? あいつだって仕事部にこもりきりで、俺をほったらかしにしてたんです! 俺だって寂しかったんですよ!」
調のに、凍りつくような沈黙が落ちた。
田弁護士が静かに鏡を押しげ、枚の分いバインダーを机の央へと滑らせた。
「田さん、あなたが『ほったらかしにされていた』と主張される期の、里美さんの執スケジュールと事・育児の記録です」
バインダーには、里美が毎几帳面に記録していた記とタイムスケジュールが綴じられていた。
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『午起、美の朝と弁当作成。半、集団登の見送り。から午まで執(万字)。夕方、美の習い事の送迎、夕準備、呂掃除。夜、美の寝かしつけ、夜まで連載原稿の推敲。夫・博之は午起、夕方から、夜帰宅』
「奥様は、あなたと美さんの活費、将来のための貯蓄、そして居の賃を稼ぎすために、を削って眠を削り、執とすべての事育児を両させていました。あなたがソファーでゲームに興じ、親友である井裕子氏と級フレンチを堪能しているそのも、です」
田弁護士の淡々とした、しかし寸分の狂いもない事実の刃が、博之の言い訳を々に切り刻んでいく。
「さらに、あなたが無断で使用したクレジットカードの総額は、判している直半だけでも百万円にります。これは確な窃盗および横領為に該当し、奥様側は刑事告訴の準備も完しております」
「け、刑事告訴……!?」
博之の顔から、完全に血の気が引いた。
「刑務所にきたくなければ、こちらの提示する調条項を全面に受け入れることです。婚の成、親権の完全放棄、慰謝料百万円の支払い、正利用額百万円の括返還、ならびに美さんが成するまでの養育費、額万円の支払いです」
「そんな、払えるわけないだろ! 俺は無職なんだ! 銭も持ってないんだよ!」
博之はテーブルに突っ伏し、髪をかきむしって叫んだ。
女性調委員が、れみすら籠もらない徹な声で言い放った。
「、健康でありながら働こうとせず、妻の財産を盗んで貞を働いたのはあなた自です。働いて返しなさい。法は、自ら招いた怠惰と背信を理由にした支払いの免除など、切認めません」
調のい壁が、まるで巨な牢獄の鉄格子の群れのように、博之の界を圧迫していった。
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