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"産後七日目の決別" 第9話

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初を迎え、つむぎはヶになっていた。寝返りを打ち、あやすと声をげて笑うようになった娘の成とともに、直は取り決め通りの養育費を毎欠かさず振り込み、指定された面会には必ずやってくるようになっていた。

しかし、直の変化を「復縁の好」と捉え、真帆を元のへ引き戻そうと画策する者がいた。

義母の千鶴だった。

あるの夕方、真帆がつむぎをベビーカーに乗せて買いしから戻る途、実のので千鶴が待ち伏せしていた。

「真帆さん、ちょっといいかしら」

千鶴の表には、以のような傲な棘はれていたものの、焦りと苛ちが滲みていた。

「直もあんなに反省して、毎ちゃんとおも入れて、育児も頑張っているじゃない。あの子なりに必に父親としての責任を果たしているわ。……あなた、体いつまでを張って、あのに戻らないつもりなの?」

真帆はベビーカーのハンドルを握り直した。

「お義母さん。私は度も、直さんのに戻ると言ったことはありません。面会も養育費も、つむぎのために取り決めたルールであって、復縁の条件ではありません」

「なんですって!? じゃあ直は何のためにあんなに頑張ってるっていうのよ! 妻が戻ってこないのにおだけ払わされて、息子が馬鹿みたいじゃない!」

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「つむぎの父親だからです」真帆は徹に言い放った。「父親が自分の子供にとおを使うのは、妻を買い戻すための取引ではありません。当たりの義務です」

「屁理屈ばっかり言って! 夫婦なんだからに流すのが普通でしょう!」

「私がに流せば、あなたがするからですか?」

真帆の言に、千鶴が絶句した。

「お義母さんは、直が育児から逃げた現実を認めたくなくて、私が産うつでヒステリーを起こしたと親族に嘘を言いふらしましたね。自分の息子を庇うために、私を悪者に仕てげたたちのもとへ、切な娘を連れて帰る気はありません」

真帆は礼し、背を向けて歩きした。

そのの夜。拒絶された千鶴は、りと焦りを抱えたまま、直のむマンションを訪れた。

「直! 真帆さん、全然戻る気がないわよ! あんな酷な女、もう放っておきなさい!」

しかし、ソファーに座っていた直は、母親の言葉にじるどころか、自信に満ちた笑みを浮かべてこう答えたのだという。

「丈夫だよ母さん。俺は今、すごく頑張ってる。仕事もして、活費も入れて、育児もこなしてるんだ。これだけ完璧にやっているんだから、そのうち真帆も嫌を直して、絶対に帰ってくるよ」

その瞬だった。

千鶴の顔から、完全に血の気が引いた。

「……直。

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あんた、今……何て言ったの……?」

「だから、仕事も育児も両方やってるんだから、族に戻れるに決まってるって言ったんだよ」

千鶴は膝から崩れ落ちるようににへたり込み、両で顔を覆った。

その景のすべてを、数、真帆は駅の喫茶で、千鶴自のから聞かされることになった。

憔悴しきった姿で向かいの席に座る千鶴は、震えるで古い桐箱から、黄ばんだ通のを取りした。

「真帆さん……本当にごめんなさい。私、あの子に……呪いをかけていたのよ」

千鶴の告は、の封印された過の記憶だった。

直がの頃、くなった直の父親もまた、激務を理由に「俺はで稼いでいる。産んだおがで育てればいい」と言い放ったのだという。千鶴は泣き叫ぶ直を抱いて実へ逃げ帰り、以も別居が続いた。

しかし、千鶴は世体を恐れ、親族に恥を晒したくないで、「男は仕事、女は育児。それが派な庭だ」と自分に言い聞かせ、夫の過ちをすべて隠蔽した。そして幼い直に「お父さんは派なよ」と教え込み、自分自がわった獄の苦しみを、「正しい庭の姿」として息子に刷り込み続けていたのだ。

千鶴が直のに突きつけたという、き夫が別居からに遺した謝罪の。

そこには、震える跡でこう記されていた。

『俺はを稼ぐことが、父親の役目のすべてだとい込んでいた。 久しぶりに直に会った、俺があやそうとしても、あの子は見らぬに怯えるように激しく泣き叫んだ。 その、骨の髄までいらされた。 父親とは、名や血筋でなるものではない。 子供と緒に過ごしたのみによって、初めて父親になるのだと。』

直はそのを読み終えた瞬、絶叫しながらに突っ伏して号泣したという。

自分は尊敬する父親の背を追っているとい込んでいた。

しかし実際には、父親が涯をかけて悔やみ続けた「最悪の過ち」を、寸分違わずトレースしていたのだ。

「私が……あの子をあんな傲な男に育ててしまったのよ。本当にごめんなさい……」

喫茶のテーブルに額を擦り付けて涙を流す義母を、真帆はただ静かに見つめていた。

因果の輪は、のを経て、ようやく断ち切られたのだ。

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